福建省泉州のある小さなビルの一室で、衣料のネット通販会社のオーナーである林氏と幹部が、自社製品をいかにロシアで販売しようかと話し合っている。現在ネット通販は中国の小売市場を変えつつあるが、林氏はその先駆者として長い間海外市場に注力してきた。2006年にeBayに店舗を開設して以来、彼の会社は町の小さな小売店から中国でも有数の衣料輸出会社のひとつに成長した。
中国の輸出は足元ではやや停滞気味であるものの、商務部の予測によれば、海外とのネット通販市場は2016年までに1兆1000億ドルに達すると見られている。林の会社はアマゾンやアリババなどの世界的なネットショップに店を出しており、1日の取り扱い点数は1万6000件、顧客や卸売業者は100以上の国に広がっている。
2013年の中国の海外とのネット取引額は前年比31%増の5057億ドルに達したが、これは中国の貿易総額の12%に当たる。海外ネット取引の90%はネット通販会社の輸出によるものである。業界の事情に詳しい専門家の翁氏は「次の10年は海外向けネット通販会社の10年になる」との見方を示している。