今年の中央1号文書は農業生態対策にフォーカスし、農業汚染対策や関連資源・環境問題を今後の農業活動の中心に据え置いている。
中国の農業は資源不足の上に過度な開発による汚染の深刻化が進んでいる。いかに与えられた資源環境の下で農産品の効率的な供給を図り、その安全性を確保し、農業の持続可能な発展をキープするかは、対処しなくてはならぬ大きな試練となっている。農業生態対策を強化することは農業の近代化建設、農業発展方式転換の本位だ。これまでの中央1号文書と比べ、今年の1号文書は中国農業資源の欠乏や汚染問題の深刻化を明確に指摘しただけでなく、農業生態対策強化のあり方についても詳細に説明されている。このことから、農業生産が大きな発展を遂げた今、農業生産に対する中央の方針も徐々に変わり、従来の農業生産重視、農産品の生産高増加一辺倒から、農業の生態対策や資源環境をより重んじる方向に転換しつつあることが分かる。
農業には「グリーン産業」というイメージがある。少なくとも栽培業に関しては作物が田畑で成長するだけで、環境や資源への破壊が非常に少なく、廃棄物もそれほど多くないように思われるが、しかし近代農業の投入物を詳しく調べてみると、栽培業には大量な化学肥料や農薬、マルチングフィルム、除草剤が必要なだけでなく、農業生産には機械も導入されていることが分かる。これら中間投入物を製造するには大量な化石エネルギーが必要となる。農業化学肥料は即ち化学燃料の転化物だ。また機械の製造や使用にも大量なエネルギーがかかる。つまり、農業は間接的に大量な化石エネルギーを使ったわけだ。