次に、日本企業は依然極めて優秀な研究開発能力を有している。欧州委員会が2014年12月に発表した調査研究報告によると、2013年、世界で最も多くの研究開発費を投入している企業2500社のうち、ランクインしている日本企業の数(387社)は、中国の199社を大きく上回っていた。研究開発費を見ると、日本企業387社の研究開発費は総額856億ユーロ(約113兆908億円)で、中国企業199社の研究開発費の4倍にもあたる。
「メイド・イン・ジャパン」の特色は決して「規模が大きく何でもそろう」にあるのではなく、「高水準」にある。特に、世界の産業チェーンで使用される素材、部品、設備機器製造などの革新技術や高い付加価値製品の製造分野で、日本は依然として世界のトップレベルにある。iPhoneを例にあげると、現在のiPhone6やiPhone6Plusに使われている約1300の電子部品のうち、約700が「メイド・イン・ジャパン」であり、半数を超えている。このように、2011年に発生した東日本大地震の影響で、日本の部品メーカーの生産供給に問題が発生した時には、このためにiPhone5の発売も延期せざるを得ない状況に陥った。比較すると、中国はすでにまぎれもない製造業大国となって久しいが、いまだに製造業強国にはなれていない。目立つのは工業の基礎製造能力において脆弱で、機械、電子などの分野の重要部品や工程技術においても人材不足で苦しんでいる。
第4に、ブランド力と質の高さは、「メイド・イン・ジャパン」の売りになっている。世界ブランド価値実験室が発表した2014年「世界ブランド500社番付」のランキングでは、日本は39ブランド、中国は29ブランドがランクインした。一見すると、この差はあまり大きくないように感じる。しかし、実際は、ランクインした中国のブランドのうちのほとんどが中国中央テレビ(CCTV)、国家電網、工商銀行、中国移動通信などの金融、エネルギー、電気通信のブランドであり、製造業のブランドでランクインしたのはたったの8ブランドしかない。日本の39ブランドのうち、30が製造業のブランドだ。今回、トイレの便座が引き起こした騒動は、この側面を証明している。統計によると、中国は少なくとも3000社の衛生器具メーカーがある。そのうち中・高級市場はこれまでずっと日系や米国系ブランドに占められている。