中国が世界第2の経済国となったのに続き、人民元がカナダドルに代わって世界第5の決済通貨となった。このことは、国際通貨基金(IMF)が人民元を公式の準備通貨とする可能性を高めている。
「ボイス・オブ・アメリカ」の1月31日の報道によると、北京が人民元国際化に向けた動きを強める中、中国の通貨の国際影響力が高まりつつある。
人民元の取引額はこの一年で大きく拡大してきた。スイスと中国は先日、ダボスで行われた世界経済フォーラム年次総会の合間を縫って、人民元のオフショア市場の設立での合意を達成したが、こうした動きは人民元取引の拡大を着実に前進させている。欧州ではすでにイギリスが同様の合意を中国と達成している。
中国はまた、人民元で取引する決済銀行を世界13カ国に10行以上設立し、数兆ドル規模の通貨スワップ協定を締結している。国際通貨決済システム「国際銀行間通信協会」(SWIFT)はこのほど、人民元が世界の決済通貨トップ5の仲間入りをしたことを明らかにした。
同協会によると、人民元の決済利用はここ2年、「3ケタ」つまり100%を超える成長率で拡大してきた。人民元の利用量は昨年、豪ドルとカナダドルを超えた。国際取引額では、米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円に次ぐ第5の規模に拡大している。
こうした発展によって、国際通貨基金(IMF)内部で使用される特別引き出し権(SDR)を構成する準備通貨の一つとして人民元を認めるよう促す動きを中国が強めるだろうとの予測が高まっている。SDRは、主要国際通貨によって構成されるもので、現在は米ドルと英ポンド、ユーロ、日本円によって構成されている。この通貨バスケットの組み合わせは今年末に見直されることになっている。