パナソニックの成長の柱となっているのは、自動車と住宅の関連事業で、これらの事業による利益は会社全体の50%に達している。見通しが明るいのは、電気自動車(EV)などに使われるリチウム電池や住宅用の太陽光発電事業だ。2014年4-12月期の業績報告によると、主要事業による利益は2902億円で、前年同期比10%の成長となった。同社は2018年までに、世界の自動車関連事業の販売額を現在の1兆3千億円から2兆円へと拡大する計画だ。津賀一宏社長はメディアに対し、「海外投資家にとってはまだテレビメーカーのイメージが強いかもしれないが、我が社はもはや家電メーカーではない」と語っている。
日立製作所は今年、米ケンタッキー州にある工場で、ハイブリッド車向けエンジンの生産ラインの操業を開始する。同社は2020年までに、米国における自動車事業の売上額を現在の20億ドルから40億ドルに高める計画だ。
これら数社の業績報告から見ると、家電事業の赤字はなかなか埋められないものだが、ここ数年の構造改革と事業転換はすでに初期的な効果を表し始めている。パナソニックの2014年4-12月期のテレビ事業の赤字は前年同期に比べて8億円拡大したものの、企業全体の営業収益は2014年度(2015年3月まで)3500億円にのぼる見込みだ。ソニーの2014年度の利益も200億円に達し、昨年400億円にのぼった赤字からの転換を実現すると見られる。ソニーの家電事業の過去10年の赤字は合計3000億円以上に達する。だがこれまでの家電大手の転換の道は平坦なものではない。自動車部品市場では、日本企業は、LGやサムスンなど韓国の「宿敵」との競争に直面するだけでなく、グーグルやアップルなどの米国の新たなIT大手企業も相手にしなければならない。