中国共産党中央委員会と国務院はこのほど、「生態文明の建設推進の加速に関する意見」を印刷・配布した。同意見は現在と今後一定期間に渡る中国生態文明建設の骨子となる文書として、生態文明建設の全体要求、目標、重点任務、制度・体制を明確にした。記者はそのうち10の重要な内容をまとめた。
「緑の水と青い山は金山・銀山」の理念が全編を貫く
【情勢判断】全体的に見て、中国の生態文明建設水準は依然として経済・社会の発展より遅れている。資源のひっ迫、深刻な環境汚染、生態系の退化、発展および人口の資源環境との矛盾が深刻化しており、経済・社会の持続可能な発展の重大なボトルネックになっている。
【全体方針】資源節約と環境保護の基本的な国策を堅持し、生態文明の建設を重要な戦略的位置に据える。節約優先、保護優先、自然回復中心を基本方針として堅持する。グリーンな発展、循環型発展、低炭素発展を基本的な手段として堅持する。
主要目標を明確化
【数値目標】GDP1単位当たりCO2排出量を2005年より40〜45%削減し、水使用量を6700億立法メートル内に抑える。工業付加価値1万元当たり水使用量を65万立法メートル以下に抑え、農地灌漑用水有効利用係数を0.55以上とし、非化石エネルギーが一次エネルギー消費に占める比率を15%前後とする。重要な河川・湖沼水機能区の水質基準達成率を80%以上とする。森林率を23%以上とし、草原総合植物被覆率を56%とし、湿地面積を8億ムー以上とし、砂漠化防止が可能な土地の50%以上の砂漠化を防止し、自然沿岸線保有率を35%以上とする。
【具体的な目標】国土空間の開発構造を改善する。エネルギー消費量の減少を維持する。生態環境の品質を全体的に改善し、大気環境品質・重点流域・沿岸部の水環境品質を改善し、土壌環境品質の全体的な安全を維持する。
重要制度の制定
【自然資源資産所有権制度と用途管理制度】水、森林、山、草原、荒れ地、浜などの自然生態空間の所有権の統一的な登録を実施する。各種国土資源開発・利用保護の区分を明らかにし、エネルギー・水資源・鉱産物資源の品質に基づく級別利用を実現する。
【レッドライン管理制度】資源消耗の上限、環境品質の最低ライン、生態保護のレッドラインを設定し、これを厳守する。資源消耗の「天井」を合理的に設定し、各種開発活動を資源環境の許容範囲内に制限する。大気・水・土壌などの環境品質の「改善のみで悪化を許さない」を、地方各級政府の環境保護の責任を示すレッドラインとする。重点生態機能区、生態環境敏感区・脆弱区などのエリアに対して生態系のレッドラインを設定し、生体機能の低下を防ぐ。
【健全な業績審査】資源消耗、環境破壊、生態効果などの指標を、経済・社会の発展の総合審査体制内に盛り込み、審査の比重を大幅に高める。差別化審査を実施し、開発規制・禁止エリア、生態系の脆弱な国家貧困援助開発活動重点県に対しては、GDPの審査を取り消す。自然資源資産のバランスシートを作成し、指導者・幹部に対する自然資源資産および環境責任の離任審査を実施することを検討する。
【責任追及を徹底】指導者・幹部の任期内の生態文明建設責任制を制定する。合理的な発展の要求に背き、資源環境・生態を著しく損ねた場合はこれを記録し、責任を終身追及する。重要な職務への転任や抜擢を認めず、すでに転任している場合も責任を問う。
生態文化の育成
【グリーン消費モデルを提唱】勤勉・倹約の消費観を提唱する。消費者に対してエコカー・新エネ車、エネルギー効率の高い家電、節水型器具などの省エネ・エコロジー・低炭素製品の購入を積極的に促し、使い捨て用品の使用を減らし、過度な包装を規制する。エネルギーおよび水の消費量が多いサービス業の発展を厳しく制限する。食品浪費防止キャンペーンを全面的に展開する。党・政府機関、国有企業が勤勉・倹約を率先して実践する。
【市民参加型制度を制定】情報公開を拡大する。環境公益訴訟制度を制定し、環境を汚染し生態系を破壊する行為に対して、関連組織が公益訴訟を行えるようにする。生態文明の建設を導く各種社会組織の、健全かつ秩序ある発展を促す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年5月6日