〇関税引き下げは、価格情勢全体にはそれほど影響しないか
今回締結された中豪FTAの内容を見ると、牛肉、乳製品、粉ミルク、ワインなどの輸入製品については、関税ゼロ政策はすぐには実施されない。これはつまり、消費者にも実質的な恩恵が行き渡ることはないことを意味している。
FTA合意によると、牛肉や乳幼児用粉ミルクなど一部製品については、特別セーフガード措置が適用される。陳氏は、「この種の製品に対して特別セーフガードを適用することは、必要な措置と言えよう。特に、中国の乳製品メーカーは、安全問題によって国民からの信頼を十分得られていない。このため、輸入乳製品が大挙して国内市場に押し寄せると、国内メーカーはあまりにも大きなダメージを被る恐れがある。特別セーフガード措置は、国内乳製品メーカーに、長い時間をかけて、輸入製品が中国国内市場にもたらす変化に慣れさせることを目的としている」と指摘した。
だが、澳優乳業(中国)有限公司の顔衛彬董事長は、「オーストラリアは、世界有数の優良品質牛乳の産地ではあるが、その牛乳で作られた粉ミルクの輸出量と価格競争力は、ニュージーランドに遠く及ばない。乳幼児用粉ミルクの競争力も、欧米の各ブランドに及ばない。このことから、ゼロ関税が実施されると、オーストラリア製品が中国ブランドに衝撃をもたらすことは確かではあるが、その程度については分からない」との見方を示した。
陳氏は、「関税が商品価格に及ぼす影響には、限度がある。現在、輸入製品の価格が高いのは、主に、消費税と付加価値税が高いことによるため、オーストラリアから中国市場に輸入される製品の価格が、実際に下がるのかどうか、下落幅が具体的にどれくらいになるのかについては、しばらく様子を見ないと何とも言えない」とコメントした。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年6月21日