都市化は、中国社会にとって嘗て経験のない劇的かつハイスピードな、避けて通れない社会経済変革である。中国の都市化は、マクロ的に都市化政策の物差し、ミクロ的には都市計画の手段、また政策と計画を評価する尺度としてバロメータを必要としている。 従って中国都市化の歴史と現状に関する充分な調査研究を基礎として、先進国の経験と教訓、先進的な理念と手法とよりデータ化しビジュアル化した都市化指標システムを開発する意義は、極めて大きい。 雲河都市研究院(以下雲河)は、東京経済大学の周牧之教授の指揮のもと、中国都市化問題の知見、国内外の経験と教訓及び新しい理念を整理し、中国の都市化を計るバロメータの提供を試みた。 『万歴十五年』の作者で著名な歴史学者である黄仁宇先生は、中国の歴史上の施策の失敗が「数値による管理」の欠如にあると結論づけた。その意味では中国都市化の成敗は先進的な理念を持った数値管理如何にかかっている。ここに雲河の「中国環境都市化指標」開発の目的がある。 「中国環境都市化指標」は、中国都市化の「数値化バロメータ」として以下の三つの特徴をもつ。
1. 立体的な視角で都市を分析
中国政府が昨年打ち出した『国家新型都市化計画』では、生態文明理念を都市化プロセスに導入することが明らかにされた。以来、中国では「生態都市」、「美しい郷村」などといった都市の評価や査定が数多く出回っている。とはいえ、その大多数は自然生態に焦点を置き、自然環境に恵まれた中小都市や辺境郷村を取り上げたものに限られている。しかし全国的規模で現代化の尺度から都市化を分析かつ評価する指標は、そうした狭義の環境概念には留まらないものであるべきだ。 環境、経済、社会という三大項目から構成される「中国環境都市化指標」は、まさに広範囲の視点から都市発展の“健康度合い”を測る試みである。 同指標は、単に環境関連の指標に焦点を置くのではなく、経済指標、社会指標にも「生態」や「環境」の意味合いを含めた。 そうした意味では、ハード系の指標、例えばGDP、鉄道、道路などの指標とは異なり、「中国環境都市化指標」が提唱するのは、発展の「質」である。同指標には経済品質、空間構造、生活水準、人文社会などの幅広い内容が含まれる。指標システムのすべての項目が、「環境保護(Green)」指向を兼ね備えている。これが「中国環境都市化指標」の最大の特徴の一つである。