2.簡潔な構造で「環境」を可視化
中国都市化を数値化、指標化することそのものが、困難極まりないチャレンジである。2年間にわたる国内外専門家の研究討論の積み重ねを経て、「中国環境都市化指標」は、簡潔な三・三・三構造を作り出した。環境、経済、社会の三大項目は、それぞれ三つの中項目で構成され、九つの中項目指標がさらにそれぞれ三つの小項目で構成される。 大中小それぞれの項目が、各々の価値基準を示していることが、「中国環境都市指標」のもう一つの特徴である。 指標を支えるデータの収集と整理自体が、大変に困難で煩雑な作業であった。中国政府の統計は部門、年度ごとに基準が異なり、連続性に著しく欠けている。加えて、多くのあるべきデータ自体が存在していなかった。 雲河は、こうした状況を踏まえ「中国環境都市化指標」において信憑性と比較可能性を考慮した上でデータを選定した。また、出来るだけビックデータを集め、指標用データに仕立て直した。2年間の努力の結果、中国の様々な公開データを集め、編集し直し、中国すべての地級都市以上の289都市を網羅する指標システムとして仕上げた。
3. 価値判断指向、認知先導
「中国環境都市化指標」の意義は、中国都市化のための政策、計画そして評価の手段となりうることである。 指標は、人々の認知や価値判断指向を先導することに大きな意義をもつ。例えば、今回の指標開発の責任者である周牧之教授は15年前、中国において自動車社会の到来で引き起こされる社会的衝撃の回避を訴えたものの、当時の社会の反応は鈍かった。今日、中国の都市は自動車社会の弊害に苦しんでいる。20年前は日本でもダイオキシンは注視されることがあまりなく、つい5年前は中国でPM2.5について論じる人はほとんどいなかった。現在なお、日本であれ中国であれアスベストの害悪に関する注目度はまだまだ足りない。「中国環境都市化指標」の真の価値は、都市化に関わる問題において先見的な価値判断を示すことである。
「中国環境都市指標2015」は2015年6月27日、北京の中国大飯店で開催の世界シンクタンクサミットにおいて正式発表され、環境、社会、経済そして総合ランキングにおける中国トップ20都市が紹介された。 「中国環境都市化指標」は、中国都市化の“数値化バロメータ”として、同国の都市化おける「数値による管理」に、大きく貢献することが期待されている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年6月28日