米国上下両院によって貿易促進権限法案が採択され、オバマ大統領の署名で成立してから、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉はラストスパートの段階に入った。TPP交渉に参加している12カ国は現在、二国間の疎通を強化し、7月末までの妥結を目指して最終段階の交渉を始めている。環球時報が伝えた。(文:翁鳴・中国社会科学院農村発展研究所研究員)
米国がTPPを構築する目的は、アジア太平洋市場のさらなる開放、とりわけ世界で最も活力に富むアジア市場の開放を通じて、米国経済の急成長を促進することにある。米国はTPP交渉を通じて全面的で優先的な参入制度を提出し、関税の引き下げや撤廃という方式で、米国商品の競争の優位性を獲得し、米国の工業品や農産品などのアジア市場におけるシェアを拡大し、世界最大の経済体としての米国の地位を固めようとしている。
TPPは米国の「アジアへ回帰」戦略の一環であり、中国の急速発展を抑えようという明らかな戦略的目的がある。農業の面では、米国が主導するTPP交渉では、貿易の自由化と農産品の関税撤廃が強く主張されている。一部の輸入国の敏感な農産品に対するこうした主張は、農産品輸出国の経済利益を実現できるだけでなく、輸入国の農業の総合的な生産能力を弱めることによって、より多くの利益を獲得するためのものと考えられる。