だが注意しなくてはならない点がある。日本貿易は赤字現象が続く見込みだが、日本の経常収支は黒字が続いていることだ。これは主に海外に投資する日本企業がもたらしたリターンによるもので、とりわけ円安を背景として、こうした企業の利益獲得力が上がっていることがある。また日本政府が最近うち出した査証(ビザ)発給要件緩和やサービス貿易発展に関わる措置にも一定の功績があり、大勢の外国人観光客が日本を訪れて買い物したことが明らかに日本の消費を引き上げた。
天津社会科学院日本研究所の平力群副研究員は、「1980年の第2次石油ショックで日本は2兆6129億円の貿易赤字に陥り、その32年後の2012年にも6兆9411億円の貿易赤字が出現し、その後3年間赤字が続いている。2015年になると、赤字額は前年に比べ減少したが、貿易のプラスになるまでにはまだ相当の距離がある」と話す。
日本の貿易赤字を招いた原因は日本の産業空洞化、輸入食品や輸入原材料への依存度の上昇、原子力発電所の安全性に問題があることが判明した後の輸入エネルギーの増加、円安などさまざまだ。為替レートは両刃の剣で、レートが下げれば輸出製品の競争力向上にはプラスだが、相当量の物品を輸入した場合にはより多くの外貨を支払わなければならなくなる。そこで日本の貿易赤字が持続するかどうかという問題を分析する場合には、いくつかの方面から総合的に考えることが必要になる。特に最近出現した2つの大きな動向に注意しなくてはならない。それは企業の国内回帰と原子力発電所の再稼働だ。石油や天然ガスの価格が大幅に上昇せず、世界経済が大規模な危機に陥らなければ、情報化を基盤とする購入方式への変化、経済のグローバル化や経済一体化の深まりにともなって、日本企業には国内回帰の波が来ることになる。また再生可能エネルギーと原子力エネルギーがエネルギー供給に占める割合が増加すれば、燃料・エネルギーの輸入が減少する。こうした2つの大きな流れに後押しされて、日本の貿易赤字は徐々に減少し、やがて消滅するとみられる。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年7月29日