多くのアナリストは、日経新聞は国内で知名度が高いが、海外では余り知られていないと指摘した。日経新聞は2013年秋に「Nikkei Asian Review」を創刊し、2014年春にはバンコクで、アジアの大企業を取材する記者の拠点となる「アジア編集総局」を開設した。しかしFTによると、日経新聞の海外でのブランド樹立の努力は難航しており、例えば「Nikkei Asian Review」は購読者の獲得に苦しんでいるという。これと比べると、FTは真のグローバル紙だ。FTの有料購読者は約50万人、無料会員は640万人で、デジタル化に最も成功した欧米メディアの一つだ。
日本新華僑報の蒋豊編集長は、環球時報の記者に対して、「FTは2005年に中国語サイトを、日経新聞は2012年に中国語サイトを開設しており、両者は競争関係にある。有料購読者が存在しないため、中国語サイトの開設は資金の無駄遣いになるが、中国語圏のメディアがこれを閲覧し引用すれば、世論に影響を及ぼすことができる。日経新聞はFTの買収により、『メディアの旗艦』を建造することができる。中国語サイトの成功により、日経新聞は日本国内で朝日新聞を破り、中国語圏での影響力と発言権を拡大した。日経新聞は今後英語圏を支配し、日本語圏から中国語圏、さらには英語圏に至ろうとしている」と指摘した。
日経新聞は、本件に敏感な反応を示している。日経新聞の村山宏アジア総局編集委員は7月28日、「日経のFT買収は陰謀論、もう聞き飽きた」と題する記事の中で、「中国を代表するメディアの電子版は、FT買収の裏には財団の支援があるとし、専門家の話として『これほど巨額の買収は、もはや単純な市場行為ではない。その裏側には、日本の財閥、さらには国家の意志があったかもしれない』と伝えている。記事は、この観点を裏付ける事実と証拠を一つも挙げておらず、新聞業界の事実に基づく客観的な報道の原則に背いている」とした。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年7月31日