イギリス不動産市場、特にロンドン不動産市場は、これまでアジアの投資家に人気の高い資産逃避の場所だった。最近、そこに異変が生じている。イギリスの開発プロジェクト「バトル海」の大株主のひとりであるシーム・ダービー氏は、マレーシアなど東南アジアの投資家が最近、イギリス不動産市場への興味を失いつつあることに気付いた。
イギリスポンドがこの数か月高くなっていることや、投資家の住む国の経済が波乱含みにあることが原因だとダービー氏は分析する。「広州日報」が、新華社の報道を引用しながら報じた。
ロシア人投資家も興味が薄れる
ルーブルの通貨安に従い、ロシアの資産家もロンドンの高級物件への興味が急速に薄れている。
英ナイトフランク不動産コンサルティングのデータによると、ロンドンの高級物件を買うロシア人顧客の割合は、2015年上半期に2.9%まで減少した。前年下半期は6.37%を占めていた。
中国の資産家も減少
さらにシンガポール人顧客も半減となる1.4%に、中国人顧客は10.9%から9.4%に減少した。
英「インディペンデント」紙は不動産専門家の話として、世界金融危機後、外国人投資家が抱いてきた「イギリスの不動産市場を安全な投資の場だ」という物語が終わりを告げたことから、ロンドンの不動産購入は極めてリスクにさらされていると報じた。
ロンドン政治経済学院経済地理学教授のポール・チェシャイアー氏は、「イギリスやロンドンの不動産市場の供給の弾力性が非常に低いことを考えると……イギリスの不動産、特にロンドンの高級不動産はかなりのリスクを抱えている」と述べる。
アナリストは、イギリスで最高級の不動産価格は10~15%下落する可能性が高いと予測する。
不動産によるマネーロンダリングに対して厳格なイギリス
イギリスのキャメロン首相は、イギリスの不動産によるマネーロンダリングに対する厳格化を図ろうと考えている。キャメロン首相は以前より外国人投資家に対し、不法所得でイギリスの不動産を買わないよう警告してきた。イギリスの不動産、特にロンドンの不動産が「外国人による匿名のペーパーカンパニーに買われており、その中には不法所得やマネーロンダリングによる資金で購入する人がいる」と首相は述べている。
英BBCのデータによると、イギリスの不動産登記のうち、海外会社による名義が10万か所を超え、海外の組織が所有するものは3万6000か所以上に上るという。
海外組織が過去15年間で購入した1500億ポンドのイギリスの不動産は、主にロンドンのランカスターゲート地区に集中している。「デイリーテレグラフ」紙の計算によると、これらの不動産の価値は、イギリスの今年の社会福祉費と国防予算の総和に相当するという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年8月29