40%を超える大幅な円安、食品やエネルギーの輸入価格の高止まりにより、日本は生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)が14年度は前年度比2.8%上昇した。だが消費税率アップや国際原油価格の大幅下落の影響により、CPIは4月以降、0.3%を下回る低水準をうろうろしてきた。今年8月にはさらにマイナス0.1%にまで低下し、28カ月ぶりの低下となった。
9月下旬には、吉野家、松屋、すき家の3大牛丼チェーンが申し合わせたように牛丼価格を50~80円値下げすると発表し、客離れをくい止めようとした。昨年末、輸入牛肉などの原材料価格の上昇を受けて吉野家とすき家が価格を20%引き上げたところ、客数が1割以上減少したからだ。
3大牛丼チェーンの価格は「街角の物価指数」となどといわれ、日本国民の消費力の変化を直接的に反映するものとみなされてきた。牛肉の相次ぐ値下げから、国民の消費力が低下し、インフレが再び頭をもたげている日本経済の現状がうかがえる。
指摘しておくべきことは、日本の食品価格はここ2年間に大幅に上昇したが、消費者物価指数を算出する際には生産食品を除外するため、インフレ指数は低下しているものの、国民の実質的負担はかえって増加しているということだ。日本政府は2年連続で企業の賃上げを誘導してきたが、今年6月末現在、従業員の実質所得は前年同期に比べ3%低下した。