東京の街頭の商店、パリの高級ブランド店、東南アジアの島国の免税店、米国のショッピングモールなどで、気前の良い中国人客が世界の人々の話題になっている。日本メディアは中国人客に「爆買い」という新語を創り出した。各店舗は中国人に対応するため、中国語を話せるガイドを配置し、モバイル決済サービス「微信支付」の受け入れ態勢を整えている。
中国人客がどこで「爆買い」するかは、経済のグローバル化を背景とする自由な選択である。これは愛国や海外への媚びへつらいとは関係がない。しかし近年、海外での消費が活況を呈し続けていることは、中国人の質の高い商品・サービスへの旺盛な需要を意味している。ところが中国の製造業と小売業は時代遅れで、国民の消費のグレードアップの需要を満たしておらず、多くの金が他人のポケットに流れ込んでいる。
中国国家旅遊局(観光局)は、中国大陸部からの海外旅行者数は2015年に延べ1億2000万人に、海外での消費額は1940億ドルに達すると予想した。なぜ多くの中国人は国内で節約するのに、海外では何でも購入したがるのだろうか?これは主に、多くの人が海外で大金をはたいても、国内で消費するよりも割に合うと考えているからだ。
まず関税や経営コストなどの影響を受け、多くの製品の価格は国内外で逆転している。また多くの中国人客は、海外の製品の方が品質を信頼できると考えている。この2つの要因により、中国は観光サービス貿易の世界最大の赤字国になっている。
1兆元以上の購買力が外部流出するというきまりの悪い局面を打破し、中国人の消費の高い潜在力を国内で引き出すためには、人々の「メイド・イン・チャイナ」に対する自信をさまざまな面から強化する必要がある。まず高品質の中国ブランドを創り出す条件を整え、「製造大国」から徐々に「ブランド大国」へと変化し、質向上により国産品の信頼を取り戻す必要がある。
次に、国内の消費環境の改善を進め、価格差を縮め、国内での消費意欲を高めるべきだ。一部の観光客が海外から苦労して持ち帰ったウォシュレットやコメなどの産地は、中国国内となっている。観光客が海外に殺到するのは、その方が安く割に合うからだ。また税率を調整し、国内外の製品の価格逆転を解消しなければならない。他にも多様な免税サービスを展開し、主要商業都市内の免税店の発展に力を入れるべきだ。
偽造品の製造・販売の罰金を引き上げ、監督管理体制および消費者の権利を守る制度を整えるべきだ。これは使い古されているが、不可欠な対策でもある。
中国人の購買力が高まっている。これは改革開放と経済発展がもたらした朗報だ。中国人の海外での「爆買い」や買い占めを受け、関連部門が政策を適時調整し条件を整え、中国製品のイメージの再構築を促せば、あるいは国内の企業が商機を目にし、質の高い高水準の商品を提供できれば、もしくはこの購買力を効果的に国内での消費に転じることが出来れば、中国の経済減速の圧力を大きく和らげることができるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年11月12日