▽投資ルートが増加
買い物や消費が便利になるほか、人民元のSDR入りは、一般投資家の投資ルートの拡大にも有利に働く。将来は国外で直接、不動産や株式、債券を購入することができるようになる。
興業銀行のチーフエコノミストの魯政委氏は、「庶民にとっては、世界のより多くの資産への投資が可能となると指摘する。第一に、グローバルな資産配分が可能となる。人民元がSDR入りし、国際収支が開放されれば、一般投資家は、人民元資産を保有できるだけでなく、すべての外貨資産の保有を考慮できるようになる。中国人の財産価値の維持や拡大にとっては有利な環境だ。第二に、より多くの資産配分が可能となる。一般投資家の投資ルートはこれまで大きく制限され、銀行預金や不動産市場、銀行での資産運用、ファンド、株式市場など、国内の投資ルートしか選ぶことができなかった。グローバルな資産配分が可能となれば、国内の投資ルートでは物足りないという投資家は国外での投資を始めることができる」と語る。
人民元のSDR入りは、国内の投資ルートの成熟にもつながり、将来の国内の資本市場でのチャンスも増えるのではないか。肖磊氏はこれについて、「人民元がSDRに採用されれば、国内資本の双方向的なコントロールが徐々に緩和され、国内の投資家が国外の資本市場に投資することも、国外の投資家が中国に投資にやってくることもより容易になると指摘する。だが現在、中国の株式市場と不動産市場は過度に高く見積もられており、投資家は国外の株式や不動産の投資に向かう可能性が高いため、中国の株式市場や不動産市場に不利な影響が出ることも考えられる。だが債券市場とエクイティ投資市場には今後、より大きな発展の見込みがある」としている。