▽為替リスクの引き下げ
個人の投資ルートが増すという以上に、人民元のSDR入りは、企業にとっての影響が大きい。とりわけ銀行を代表とする金融機関や輸出入関連の企業にとってはなおさらだ。
中央財経大学銀行業研究センターの郭田勇センター長は、「銀行はこのチャンスをつかみ、海外市場を拡大し、人民元のオフショア預金業務を推進するべきだ。輸出入企業にとっては、国際市場で人民元に対する需要が高まっていけば、人民元レートには支えができ、企業の国境を超えた投資や取引、買収などに有利になる」と見ている。
「事実上、中国の対外貿易での人民元による価格計算の比率が高まる中、人民元はすでに、最もよく使われる支払通貨の一つとなり、貿易決済における役割を急速に拡大している。中国企業は、より魅力的な価格と融資を貿易相手に提供することで、相手が人民元で決済するようにし、自身の為替レートのリスクをなくしている。同時に、企業が貿易相手国の通貨を直接使用して取引の決済を行い、ドルを仲介としないことで、企業の両替コストを引き下げ、輸出入企業の効率を高めることもできる」と続けた。
また郭センター長は、「人民元のバスケット入りは、政府の準備金の価値低下によってもたらされる資産の流失を減少し、人民元の価値低下の予期を引き下げ、米FRBの金利引き上げによってもたらされる影響を緩和することにもつながる」としている。(編集MA)
「人民網日本語版」2015年12月2日