2016年の経済政策の基本方針を決定する「中央経済活動会議」が近く開催される。2016年は、中国の「第13次5カ年計画」(十三五、2016~20年)がスタートする年であり、中国経済が大きな調整期と転換期を迎える「要」の年でもある。来年も引き続き「穏中求進」(安定を保ちつつ経済成長を促す)が経済活動全体の基本方針となる見通しだ。政策は「穏」(安定)を中心に据え、「供給サイドの構造改革」と安定成長維持の必要性に配慮する。マクロ政策は「積極的な財政政策」と「穏健な金融政策」が継続される可能性が高い。
◆基本方針は「穏中求進」
中国人民大学国家発展・戦略研究院の劉元春院長は、「2016年は中国のマクロ経済が底入れする最初の年であり、近年で最も苦しい年」になるとの見方を示した。世界経済が底打ちしつつあるなか、中国経済にはまだ下振れの余地がある。マクロ経済の各指標は一段と低下する見込みで、ミクロ経済の運営システムにも異変発生の可能性がある。金融政策は新たな局面に対応し、全面的な再構築が迫られる。マクロ経済が底を探るなか、金融政策は「適度な緩和」にはっきりと転換し、市場の見通しについて安定を図る必要がある。「債務-デフレ」の悪循環を断ち切り、悲観的なムードを一変させるべき、と指摘した。
光大証券の徐高チーフエコノミストは、今後は緩和政策が顕著に拡大すると予想する。なかでも実体経済での投資意欲の喚起に向け、政策性金融機関を通じたプロジェクトの推進支援や、地方政府による投資への積極性を高める必要があるとしている。
モルガン・スタンレー華鑫証券の章俊チーフエコノミストは、中央政府の安定成長維持政策について「雇用の安定」の重視が背景にあると指摘する。政府は雇用情勢の推移を見極めながら、安定成長政策の度合いを臨機応変に調整していくと予想。短期的には、経済成長の失速と失業率の上昇を回避するために、経済成長を牽引する「3頭立ての馬車」(輸出・消費・投資)の需要管理が引き続き重要となる。政策面では、金融政策と財政政策の「ダブル緩和」により政策の連続性と安定性を確保、インフラ整備を中心とする固定資産投資をけん引するとともに、減税などにより消費を喚起、新たな人気消費財の育成も必要だとの見方を示した。