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japanese.china.org.cn | 23. 12. 2015

中日で明日の環境とエネルギーをつなぐ議論 ―—国際シンポジウム「環境とエネルギーの未来」

タグ: 環境とエネルギーの未来

 



 

セッション2「省エネ・再生可能エネルギー社会への挑戦と自然資本」ディスカッション

ディスカッションは周牧之東京経済大学教授が司会。討論を前に、周ゼミの学生が、太陽光、風力、地熱発電など日本の再生エネルギーの技術とその利用の現状、エネルギーの自給自足と里山資本主義の神髄そして水素社会の行方などについて、これまで学んだことを土台に紹介し、問題提起した。 

中井徳太郎日本環境省総括審議官は、「環境省では森里川海の恵みを持続可能な形で引き出し、安全で豊かな国作りにつなげる『森里川海プロジェクト』を全省あげて進めている」と紹介。「人が心豊かに生活していくには、自然の資本に再度目を向けることが必要。人間が生き物として暮らしていることが味わえ、自然の恵みに支えられた地域の循環ができれば温暖化、社会、経済の問題が解決に向かう。戦後安いコストの輸入頼みで、循環が崩れたことに社会のいまの矛盾がある。日本の森は蓄積されており、自然の資本として活用できる森の姿に返すことに取り組む。風、水、地熱などを元本として維持しつつ恵みを使う暮らしを可能にしていく。自然と断ち切られた生活をやめて、国民参加型で具体的にプロジェクトを一つひとつ草の根の積み重ねでやろう」と呼びかけた。 

安藤晴彦日本経済産業省戦略輸出交渉官は、「温暖化により、海の表面温度が27度超えて多大な被害をもたらす台風が発生している。PM2.5もアジア全体で考えるべき大問題である。新技術は既存の技術をのりこえる性能を持ち、且つコストの安さが必要だ。研究拠点を設置し科学の天才を集めて開発を続けることだ。日本では燃料電池や、タンカーでの常温常圧の水素運搬技術が生まれている。コスト、政治、枠組みの問題は残っているが、日本独自の製造拠点をつくり太陽光で水素を作るプロジェクトも進み、メタンへの変換などさまざまな技術が出ている」と展望した。 

和田篤也日本環境省廃棄物対策課長は、「人々のライフスタイル、文化、国の有り様に関わる最初の問題となったのが温暖化問題だ。温暖化対策をとることで人口減少、少子高齢化、食力自給、貧困など社会の様々な課題に切り込めると各国が気付き始めた」とし、また「再生可能エネルギーとそうではないものとは密度が違う。瞬発力があるのが化石エネルギー。薄く広げ特殊なことをやるのが非化石エネルギーであり、これはローカルエネルギーとしてやれる。水素の良さは電気を貯められる点にある。電気を貯める再生可能エネルギーは、ローカルエネルギーとして力量を発揮できる。ローカルのものをローカルに使うテクノロジーとして水素がある」と解説した。 

周氏は、「学生には、再生エネルギーへの移行が遅れていることへのいらだちがある。また、電力自由化などの制度は本来再生エネルギーの導入を加速すると考えられたが現在はむしろ石炭火力発電所の新設を促しているとの疑問もある。さらに、水素社会のエネルギー源の問題がある。水素社会は再生エネルギーの弱点を克服し、水素をベースに脱化石燃料そして脱原発のエネルギーシステムが構築できると期待されている。そのエネルギー源が、化石燃料や原発となるとまた、話は全然違ってくる」と問題提起した。 

これに応えて、中井氏は、「再生エネルギーは必ず進む。産業界として大量生産し、かつコストを安くする必要がある。地域で身の回りの物の使用を含めて頑張れば2020年に再生エネルギー度は高められ、これが地域創世にもつながる」と見通した。安藤氏は、「岩手県葛巻町は風力発電をうまく燃料にしている」と事例を紹介した。

和田氏は「再生可能エネルギーは地方創世につながり、地域にあるエネルギーを、地域のエネルギープロデューサーを育てて活用するべきだ。再生可能エネルギーはローカルで、うすい密度のものを手間ひまかけ集めてオーダーメード型で作ることが肝腎だ。自分達で作ったエネルギーだから大切に使う、メンテナンスも自分達でやるということを続ければ地域創世のキープロジェクトとなる」とし、再生エネルギーと地方創世への期待感を示した。 

まとめとして周氏は、環境問題のキーワードとして「①地球規模での問題意識の共有、②技術の開発、③制度作り、④社会を変貌させるリーダーとしてのプロデューサーの育成」の四点を提示した。

 

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