中国の大気汚染がビッグビジネスにつながるかもしれない――との見方をこのほど外国メディアが伝えた。世界を代表するハイテク企業のIBMとマイクロソフトが、二酸化炭素排出大国で急成長している大気質予想市場において激しい競争を繰り広げているという。ロイターは29日、市内に高濃度煙霧(スモッグ)が立ち込める北京市で12月、政府によって2回にわたり「赤色警報」が発令され、2200万の市民に3日以上大気汚染が続くと警告した――ことを伝えた。「この警報発令は汚染予測技術の進展によるものであり、市民の高まる不安に対応し、その対策を進める上で政府はこれをより重視している」「2022年に北京冬季オリンピックを控えていることも、政府がこのシステムに大きな関心を寄せている要因のひとつである。
冬の時期の北京のスモッグはより深刻さを増すためである」と同紙は報じている。マイクロソフトのある研究員は「大気質予想はますます大きな注目を集め、より多くの人がこの技術に関心を寄せている」と指摘。同紙はさらに「コグニティブ・コンピューティング――コンピュータ自ら考え、学習し、自分なりの答えを導き出すシステム――の発展に伴い、コンピュータソフトが天気や道路状況、政府が発表する実際の汚染指数、さらにネット情報などを基にして10日先までの大気質を予想することができるようになった」としている。
2014年、マイクロソフトとIBMの中国研究所はそれぞれ汚染予測技術を開発し、政府部門に納入した。IBMの最初の納入先は北京環境保護局で、色別の警報システムは同社の技術によるものである。12月初め、IBMは北京市環境保護局と共同で『共同環境イノベーションセンター』を設立。これによって汚染物排出削減シュミレーションプランが可能となった。さらに同社は2022年に北京と共同で冬季オリンピックを開催する張家口市とも協力を約束。同オリンピック開催までに大気質に関するシュミレーションプランを打ち出す予定という。
一方、マイクロソフトは中国環境保護局のほか福建省や成都の環境保護局とも協力文書に調印。IBMは世界で最も大気汚染が深刻なインド・デリーや南ア・ヨハネスブルクとも大気質モデルに関する協力について合意した。さらに両社の競争対象は政府機関相手だけにとどまらない。民間の再生可能電力会社もその対象である。現在中国では、30社を超える太陽エネルギー発電所がIBMの予想技術を使用し、日光の有効性の予測に役立てている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年1月1日