中国共産党中央政治局常務委員、国務院総理の李克強氏が新年早々の1月4日、山西省の太鋼集団を視察した。李総理は現場の職員に対して、「太鋼はステンレスで有名だが、皆さんが困難を乗り越えることを信じている。ステンレスの錆びない精神と智慧により、火の中から再生を果たし、再び力強い風を吹かせることを信じている」と激励した。
山西省で李総理の激励を受けた国有企業には、他にも山西焦煤集団がある。山西焦煤集団の炭鉱で、李総理は7000メートル以上まで潜り、2時間の視察を行った。李総理は炭鉱内の作業員に対して、「炭鉱の作業員は山西省の大黒柱であり、国家の大黒柱でもある」と励ました。
観測筋は、李総理の「新年の視察」は、新年のマクロ経済情勢への判断、経済政策の動向に対する重要なシグナルを発するとしている。
李総理は2015年の年初、深セン市華僑城の「柴火創客空間(メイカーズスペース)」に姿を現した。新進気鋭の若き創業者とマンツーマンで交流し、中国の最南端でメイカーズのブームを巻き起こした。
2015年には「大衆創業、万衆革新」が一つの流れとなり、多くの一般人が創業と革新に加わり、「インターネット+」の時代の創業ブームに火をつけた。
第13次五カ年計画(2016−20年)の初年度である2016年、李総理は最も多くの問題を抱え、経済減速の最大の圧力を受けている地方である山西省を、「新年の視察」の場に選んだ。これは並大抵の心配りではない。
山西省の経済の折れ線グラフは、中国の現在の経済発展のボトルネックの縮図だ。石炭の「黄金の10年」において、石炭を大量に産出する山西省は急速な経済成長を実現した。しかしこの3年間に渡り、山西省の経済成長は急激に低下している。全国31省・直轄市・自治区の2015年第1−3四半期のGDP成長率を見ると、山西省は後ろから2番目となった。
景気低迷により、山西省の過剰生産能力業界における、石炭・製鉄系の国有企業が数多くの問題を迎えている。太鋼集団は過剰生産能力の影響により、赤字を計上している。
国有資産問題に詳しい専門家、中国企業研究院主席研究員の李錦氏は、「李総理が新年早々、山西省の製鉄・石炭企業を視察したことには、極めて強い啓発の意義がある。中央経済工作会議は、過剰生産能力の解消といった5大任務を打ち出したが、製鉄・石炭業界は過剰生産能力の解消、供給側の改革で真っ先に槍玉に挙げられた。李総理は焦点の中の焦点、過剰生産能力の解消の重点の中の重点を初めに視察した」と指摘した。
李氏は、「李総理の今回の視察は、主に過剰生産能力の解消のリサーチを行い、難題を解消することが狙いだった。これは中央政府の過剰生産能力の解消に向けた決意を十分に示した。これは山西省の経済問題のみならず、全国の経済発展の問題を解消する」と分析した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月12日