経済成長に地域差があることからも、中国経済の構造調整には融通の利く大きな余地があることがわかる。一部の産業は、沿海部での優位性が失われても、内陸部では引き続き成長が期待できる。国際商品相場の下落で資源型の地域が困難に直面しても、別の地域ではそれがコスト低減と収益向上にプラスとなる。一部の地域で生産能力削減圧力が高まり、経済成長が鈍化しても、別の地域では早期の調整により経済構造の高度化が実現、安定成長期に入るという現象が起きている。
産業分類を見ても、中国は国際標準産業分類(ISIC)で工業部門の全ての分類が揃った世界でただ1つの国だ。そのため、中国の産業を組み合わせる力や技術の産業化、リスク抵抗力は、他国に真似できないものだと言える。
マクロ調整の余地という点から見ると、中国政府と国民の負債比率はいずれも高くない。金融面は健全で、大きな外貨準備と国有資産を保有している。マクロ調整の手法も豊富で、政策余地も大きい。