自動車業界の「風向計」と呼ばれる、第86回ジュネーブモーターショーが1日、メディア向けに開放された。世界・欧州初公開の約100車種のうち、新エネ車が注目を浴びている。各社はHVとEVを中心とする従来の新エネ車を発展させており、未来の新エネ車の流れを模索する新車も多くのサプライズをもたらしている。
EVがボトルネック解消を模索
充電しにくい、航続距離が不安、高すぎて買えない――これはEV普及のボトルネックだ。ジュネーブモーターショーをみる限り、各社はボトルネックの早期解消に力を入れていることがわかる。
EVメーカーの米テスラ社は、SUV「モデルX」を欧州初公開した。デュアルモーターにより、0-100km/h加速は3.4秒、航続距離は470キロとなっている。職員の説明によると、テスラは各種充電方法を提供しており、直流を使用するスーパー公共充電スポットは20分の充電時間で200キロの走行を実現する。フル充電にかかる時間は約40分。メーカーはオーナーの駐車位置に家庭用充電スポットを設置する。フル充電にかかる時間は8時間。
また大型店舗の駐車場に設置されている目的地充電スポット、緊急充電方法も、不測の事態に対応する。
HVがより実用的に
自動車業界の関係者は、新型HVが今年、画期的な進展を実現すると予想した。ヒュンダイのIoniq(PHV版)、三菱のEV、アウディのe-tron、BMW、ポルシェなどの主流メーカーが、ジュネーブモーターショーで公開した最新のHVのすべてが、自宅での充電機能を持つ。HVは従来のエンジンに依存しなくなった。フル充電後のEVモード走行距離は50キロを超え、都市部の通勤の需要を満たす。
新たな動力、未来の流れを示す
スイスのベンチャー企業は今回、EV「QUANTiNO」「QUANT FE」を世界初公開した。この2車種はナノフローセル電池技術を搭載する。この電池のエネルギー密度は、EVに使われているリチウムイオン電池の5倍に達するため、動力面で従来のEVを大きく上回る。QUANT FEの最高時速は300キロ、航続距離は800キロに達する。
ホンダが展示した新型FCV(燃料電池自動車)「クラリティ フューエルセル」は、水素燃料の燃焼により動力を生み、燃焼後の水しか排出しない。この水素燃料電池車は、英国とデンマークで商用化を実現する。しかし業界関係者は、水素燃料の注入は高圧容器が必要であり、一定の危険性を伴うと指摘している。また水素燃料スタンドの建設費は、従来の充電スタンドの50倍にのぼる。
中国企業も、未来のEV充電ソリューションプラン、自動車の動力の発展に、実行可能な措置をもたらした。ジュネーブモーターショーでデビューを果たした中国新興自動車メーカー「Techrules」は、「Turbine-Recharging Electric Vehicle(タービン・リチャージング・エレクトリック・ビークル、TREV)」技術を世界初公開した。同技術は小型化されたガスタービンをEVに搭載し、天然ガスなどのクリーン燃料の燃焼により発電し、自動車の電池の充電を行う。EVの自主的な、場所の制限を受けない充電が可能だ。同技術を搭載したスーパーカーの出力は768kWで、ハイパワー、低排出、長航続距離、場所に制限されない充電といったメリットを持つ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年3月5日