G20諸国が、量的緩和政策は物価上昇と経済活性化の効果がなかったことと、資本移動が国際通貨情勢を不安定化したことの双方についての認識を共有すると、おのずから金融政策協調の必要性についての合意が生まれると考えられる。しかし、伝統的金融政策観に捉われる先進経済が金融政策協調の議論を率先するとは期待できない。ここは人民元使用可能通貨化を迫られている中国の出番である。そもそも、リーマンショック後の2008 年、第一回のG20 金融サミットが開かれたのは、世界第三位の経済大国中国が参加しないG7で世界金融危機への対応を協議しても意味がないとの認識があったからである。今は世界第二位の経済大国となった中国の発言は一層の重みがある。中国に次ぐアジアの大国インドの中央銀行総裁ラグラム・ラジャン(Raghuram Rajan)氏は、非伝統的金融政策がもたらす対外的波乱効果を指摘し、「21世紀の統合された世界に相応しい制度の構築」を呼びかけている。中国はインド、インドネシア、アルゼンチンなどG20中の新興工業国と連帯して発言することができる。本年9月、杭州で開かれるG20サミットに向けての作業部会が実質的な議論の場となるだろう。それが契機となって国際通貨情勢が改善するならば、世界経済安定成長の環境が整備されることとなる。中国も人民元自由使用可能通貨化の前提である資本勘定自由化と人民元為替レートの市場化に向けて進むことができる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年4月10日