スマホに続き、バーチャルリアリティ(VR)産業が、IT業界の競争の舞台になりつつある。多くの調査機関は、2016年がVR技術の産業化の元年になると予想している。業界関係者は、中国のVR産業の発展の「弱み」は、コア技術とコンテンツ開発の不足だと指摘した。これについては、産業の成熟化において改善していく必要がある。
中国の投資銀行、中金公司は研究報告書の中で、ハード技術の成熟化とコンテンツの豊富化により、VR産業が2016年に「黄金の元年」を迎えると予想した。VR産業の市場規模は300億ドルを超える可能性があるという。会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツは、VRが2016年の世界産業界の大きな流れを作り、VRヘッドセットが約250万台、ゲームソフトが1000万本販売されると予想した。
VR産業の成熟化は各業界から認められており、世界的な競争を引き起こしている。中国IT企業のテンセント、アリババ、暴風科技などは、VR製品とサービスを発表している。
しかし業界関係者によると、中国のVR産業には武器となるコア技術がなく、ハード製造業界の均質化の競争が深刻で、外国製品よりもユーザー体験の面で劣っている。調査会社の艾瑞咨訊によると、多くのVRヘッドセットは重く、長期的に着用すると不快感が生まれる。圧倒的多数のユーザーは、長時間の使用によりめまいが生じるという。
とは言え、一部の中国メーカーは独自の革新により海外企業を追い抜き、国内外の資本から注目を集めている。取材に応じた複数の業界関係者によると、中国は創業と革新の奨励に力を入れ、VR業界のベンチャー企業に理想的な成長の土壌を提供している。資本はこれまで短期的な収益のみを重視し、ベンチャー企業への長期的な投資と製品の育成に消極的だったが、今やこの状況には大きな変化が訪れた。
艾瑞咨訊が発表した最新の報告書によると、VRハード開発業者への融資額は、VR業界全体の51.9%を占めている。VR業界が発展の初期段階にあり、VRハードの更新が投資家から最も注目を集め、競争が最も激しいことが分かる。
また業界関係者によると、新技術をボリュームゾーンに普及させるためには、ハード意外にもコンテンツが必要だ。VRデバイスは動画、ゲーム、ショッピング、SNS、教育、医療などのコンテンツと結びつき、初めて効果を発揮する。しかし世界を見ても、VRコンテンツはあまりにも少ないという現状だ。そのためVR産業の次の投資の焦点はコンテンツになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年4月14日