注目すべきは、中国企業の海外でのM&A規模のみならず、外資の中国でのM&Aや中国企業による国内でのM&A規模も大幅に拡大しているという点だ。同部の統計によると、第一四半期、外資企業の中国でのM&Aは前年同期比24.5%増となっている。また、第一四半期、同部は経営者から計99件の集中申告を受けており、これも同期比32%増、このうち審査を通過している案件も33%増の82件に達しているという。
また、「中国企業の海外でのM&A規模は10年前と比べると十数倍に拡大しているが、中国の対外投資はまだ初期段階にある。中国の対外投資(ストック)の世界に占める割合は3.4%にすぎず、米国の24.4%よりも低いだけでなく、英、独、仏、日といった先進エコノミーよりもはるかに低い。同様に、中国企業の海外M&Aもまだ初期段階にあり、中国の2015年海外M&A取引額が大幅に上昇したにもかかわらず、その占める割合は世界全体でみると6.2%にすぎないという点も抑えておいてもらいたい」と述べた。
沈報道官はまた、「海外でのM&Aの成功は、中国企業にとってメリットがあるばかりか、相手企業にもメリットがある。相手企業は危機を脱出することになり、企業所在国の経済社会の発展にも貢献することになる。近年、中国企業は海外M&Aを通じて設計、研究開発、マーケティング、サービスといったハイレベルの生産要素の獲得に成功し、世界のバリューチェーン、産業チェーン、物流チェーンにおける地位を次第に高めている。浙江吉利によるスウェーデン・ボルボの乗用車業務買収を例に挙げると、吉利社はハイレベルの自動車研究開発チームと研究設備を獲得しただけでなく、国内にも技術的蓄積をもたらし、技術の飛躍的向上を実現した。上海閃勝による米半導体企業ISSIの買収では、先進的なメモリ集積回路設計技術を獲得することに成功している。こうした成果と同時に、相手企業にもたらされるメリットも顕著になってきている。大連万達による米AMCエンターテイメント買収を例に挙げると、それまで3年連続の赤字であったAMCが、買収当年に黒字転換を実現、翌年には米NY証券取引所への上場に成功し、米国に1100人の新規雇用を一度に創出した」強調した。