「労働力コストが急速に上昇しているため、日本企業は中国から撤退し労働力のより安い東南アジアにシフトしている・・・」こうした最近の日本のマスコミの論調を、日本経済界の権威はいったいどう見ているのだろうか。
「中国に投資している企業で東南アジアに移っているのは、一部の労働集約型の付加価値の低い企業だけで、心配は無用である」。こう語るのは、第5回 World Business Leaders (昆山) Conference に参加した日本経済協会北京事務所の篠田邦彦所長である。
「日本企業は技術・品質ともに競争力があり、中国で現在進行中の産業の高度化は日本企業にとって新たな契機となるものだ」
「合繊メーカーなどの付加価値の低い産業は東南アジアにシフトしているが、中国にある大部分の日本企業は引き続き中国での業務を強化しようとしている。特に現在中国は内需拡大と供給側改革を推進中であり、『世界の工場』から『世界の市場』に転換し始めている。これは日本企業にとって大きな商機である」と指摘する。