米政府機関の国際貿易委員会(ITC)は18日、環太平洋経済連携協定(TPP)が米国の実質国内総生産(GDP)を427億ドル押し上げるとの分析結果を米議会に提出した。ただ、法案の批准は11月の選挙以降の可能性が高く、次期政権に先送りされるリスクもある。
ITC報告は、議会のTPP承認審議に必要なステップの一つ。予測したのは2032年時点の経済効果で、GDPの押し上げ率は0.15%にとどまる。
GDP押し上げ効果が小さいのは、既にTPPの11相手国中6カ国と独自の自由貿易協定(FTA)を結んでいるため。FTAのない日本に対しては、TPPでコメや食肉などの輸出拡大効果が見込まれるとした。
対日交渉を務めるカトラー前USTR次席代表代行は「年内に議会承認を得られるとみている」と話す。オバマ政権が目指すのは11月の大統領選直後の「レームダック国会」での議会承認だ。オバマ氏は共和党の推進派と組み、大統領選から自身が退任する1月下旬までの2カ月強で、スピード審議する案を練ている。