欧州委員会のマルムストローム委員(貿易担当)は、「このようにして計算された反ダンピング関税は現在の水準にほぼ沿ったものになり、EUがWTO議定書第15条の規定で承諾した義務を履行することを可能にすると同時に、EU自身の貿易救済能力を確保することにもつながる」と話す。
この他にもEUの多くの業界関係者は中国製造業と直接的な競争関係にあるため、中国に市場経済国の地位を与えることに反対するだけでなく、いわゆる「レッサー・デューティー・ルール」の改訂を主張し、またこのルールによりEUの徴収する輸入関税は他の地域よりも明らかに低いと主張する。
当面のレッサー・デューティー・ルールに基づき、EUはダンピング行為によって生じた損失を評価する際に2種類の規準を採用する。ドイツのシンクタンクMERICSの欧州対中国政策部門の責任者ヤスパースさんによると、「EUはダンピング幅とダンピング行為によって生じた損失の程度を評価する際、程度の低い方を徴税の根拠にする」という。
英国ロンドンに本部を置くコンサルティング会社グローバルカウンセルLLP.のパートナーのアダムスさんは、「生じる可能性の最も高い状況は、EUがレッサー・デューティー・ルールを改定し、中国から輸入する商品により高い関税をかけるようになることだ」と話す。