欧州鉄鋼協会はレッサー・デューティー・ルールができる限り少なく応用されることを願うとしている。総幹事のエッゲルトさんは、「そうなれば欧州の鉄鋼産業は助かる。欧州はレッサー・デューティー・ルールを採用する唯一の主要貿易主体だ」との見方を示す。
またこのたびの市場経済国の地位をめぐるやりとりに関して、欧米の懸念はWTOの条項における「代替国」制度終了の可能性にある。この制度では輸入国が非市場経済国から輸入した商品に対し、市場経済国の地位を備えた第3国の同類製品または類似製品を参考にして価格を計算することが認められる。たとえば、中国の鉄鋼製品にダンピングが存在するかどうかを判断する際、EUと米国は同製品の中国における実際の価格を考慮する必要はなく、インドの同類製品の価格を参考にするだけでよい。こうした制度により中国の商品はダンピングや政府からの補助金があると認定されやすく、往々にして懲罰的関税を徴収されることになる。
欧米のアナリストは、中国を市場経済体と認めなければ、「代替国」メカニズムを延長することが可能だとしている。
分析によると、非市場経済国に関する条項は冷戦時代に米欧をはじめとする先進国が社会主義国を牽制するために作り出したもので、諸々の基本的な貿易待遇や反ダンピングの問題を処理する際に、社会主義国に対して採用する一種の差別的な手段であり、はっきりとしたイデオロギーの色彩を帯びている。非市場経済国の条項はその誕生から応用まで、国際政治という要因の影響を深く受けざるを得ない。反ダンピング条項にある「代替国による方法」といった貿易救済措置は、非市場経済国の条項と緊密に結びついたもので、先進国が対外的に保護貿易主義を発動し、対内的に特定の利益集団の利益を追求する場合の便利なツールとなっている。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年12月9日