北京時間15日未明、米連邦準備制度理事会(FRB)は、フェデラル・ファンド金利の誘導目標を25ベーシスポイント引き上げ、0.5%から0.75%とすることを発表した。1年ぶりの再度の引き上げとなる。人民元などのその他の通貨の対ドルレートはこれを受け、いずれも異なる程度の低下を示した。専門家は、金利引き上げが今回ついに行われた後、来年は「複数回の金利引き上げ」が行われるとの期待が再び高まっているが、金利引き上げそのものの人民元に対する衝撃はすでに出尽くしていることに注目する必要があると指摘している。また中国の貿易黒字や経済の穏やかなモデル転換などの要素が人民元レートを支えていることも無視すべきではない。総合的に考えて、人民元レートは今後、変動はあるものの、安定した値動きを示すものと見られる。
JPモルガン・チェースは、FRBが来年、2回の金利引き上げを行うとの推測を示している。人民元にとっては、金利引き上げの実施は2017年、どのような影響をもたらすものとなるのか。専門家の多くは、金利引き上げへの期待が高まり続ける中、ドルはここ2年ですでに大きな上昇幅を見せており、ドルは今後、段階的な調整を経ることになる可能性があると指摘している。また世界に依然として多くの不確定要素がある中、FRBの金利引き上げが2017年、市場機構の予測するような急ピッチで行われるとは限らない。このためFRBの金利引き上げの人民元に対する影響については、理性的な態度で見ていく必要がある。
「一方では、ドルは世界で最も主要な準備通貨・取引通貨であり、FRBが今後も金利引き上げを続ければ、人民元レートにとっては圧力となり、中国の通貨政策の牽制となる。もう一方では、米国経済がもしも引き続き上昇し、長期金利の正常なレベルへの回復を支えれば、世界経済の好転を助け、中国経済の外部環境も改善されることとなる」。上海市社会科学院世界経済研究所の周宇研究員によると、市場の実際の動きにおいてはしばしば、期待の影響が事物そのものよりも大きくなる。そのため「悪材料が出尽くすことは好材料」となり、人民元レートも引き続き安定を保つものと考えられる。
根本から言えば、中国経済の「穏中向好」(安定の中での前進)という発展傾向とモデル転換・アップグレードの巨大な潜在力こそが、人民元の強い通貨としての堅固な柱となっている。
周宇研究員は、「人民元にとっては、米国の政権交代や金利引き上げサイクルなどによって外部の不確定性がもたらせているものの、中国内部に多くの好材料があることで、外部の衝撃が相殺されている。まず、中国経済の成長速度は低下しているものの、世界的に見ればまだ高いレベルにあり、住民消費や民間投資、企業利潤などの多くの指標はいずれもさらなる好転の兆しを見せている。次に、世界の貿易大国として、中国は毎年、大量の貿易黒字を出しており、人民元にとっては間違いなく大きな支えとなる。最後に、人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)の通貨バスケットに加わったことで、海外では、人民元資産配分の需要が高まる傾向が見られる」との判断を示している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年12月22日