タンザニア最大の都市ダルエスサラームにあるホテルの外壁から、ケニアの首都ナイロビの空港道路、さらにはウガンダのカンパラにあるバラック街まで、「TECNO」という5文字の壁面広告は至る所にみられる。このアフリカ市場でトップシェアを誇るスマートフォンブランドは、中国の広東省深圳市から進出しているクールな民営企業だ。
TECNOの2015年出荷台数は5000万台を超え、それらは全て海外へ輸出された。2016年上半期の輸出台数は3286万台と、中国の輸出携帯電話メーカーでは最多となり、通年でも8000万台を超える見込み。
「TECNOはアフリカをとても理解している」。タンザニアの大手メディア『ザ・ガーディアン』で記者を務めるルーカス・リガンガ氏は、TECNOの携帯電話カメラが他のものより優れており、アフリカ人の肌の色に合う美顔機能を開発したと説明。また、防振・防汗機能や音楽も素晴らしく、どこでもみられる壁面広告がこの携帯電話をさらに「アフリカ的」にしているとの見方を示した。
ルーカス氏が所属する『ザ・ガーディアン』は先ごろ、アフリカ市場でのアップル、サムスン、TECNOなど大手ブランド数社に関する調査リポートをまとめた。結論として、TECNOが異なる市場で様々な戦略を講じることに長けているため、競争のなかから頭角を現したとしている。「TECNOのような中国ブランドが、アフリカの複数の国で市場独占に成功することは本当に難しい」とルーカス氏は話した。