2016年の世界経済は予想外の低成長であった。経済協力開発機構(OECD)がまとめた2016年下半期経済展望報告によると、トランプ政権の減税・公共支出計画によって、アメリカ経済の2017年の経済成長率は2.3%と予想されているが、OECDの9月の予測は2.1%に過ぎなかった。OECDによると、減税と5500億ドルのインフラ投資がアメリカ経済の成長を加速させ、2018年の成長率は3%に達するとしている。
しかしトランプの政策はアメリカの財政負担を悪化につながるため、国内で十分な支持を得られることについて不確実性があるとの分析や、改選に伴って政策がスムーズに遂行されるなどの問題も指摘されている。このためトランプ政権による経済押し上げ効果についてはしばらく様子を見る必要があるという。
2017年の世界経済については低成長のメインシナリオの中、さらなる減速も予想されている。フランスのソシエテ・ジェネラルは2017年のブラックスワン(事前に予想できない大事件)として、欧米の不動産問題による政治の不確実性、債券利回り(金利)の上昇、主要国間の貿易戦争の3つを挙げている。