米国のトランプ次期大統領をサポートするアンソニー・スカラムッチ氏は17日に『BBC』で、トランプ氏が大統領就任後に中国からの輸入製品に懲罰的な関税を課した際に中国が報復すれば、中国側の損失は米国側を「遥かに上回る」との見解を示した。「環球時報」が伝えた。
スカラムッチ氏は「ゴールドマン・サックス一派」に属し、トランプ政権設立後に顧問になるとみられており、BBCの番組では中国の対米貿易での報復能力には限りがあると主張した。現在の貿易関係は米国よりも中国に有利で、米国が中国製品に懲罰的な関税を課すことは「公平な措置」と話した。
一方、中国の習近平国家主席はダボス会議で、「貿易をめぐる争いは痛み分けになるだけ」と強調。中国のこうした立場は世界中で多くの人が関わる国際貿易のコンセンサスとなっている。それでも、中国は貿易戦で尻込みすることもなく、トランプ新政権が中国の輸入製品に懲罰的な関税を課せばためらわずに報復措置を講じるというのが、グローバルウォッチャーの大勢を占める見方だ。
中国の対米貿易黒字は比較的大きいが、それは合理的なロジックにもとづくもので、不公平な貿易政策に起因するものではない。中国と米国の貿易規模が大きいのは、両国経済の相互補完性が強いからだ。また、中国の対米輸出のうち、米国企業を含む外資企業が中国で投資・生産した商品も多い状況となっている。
もし、米国が中国に対するハイテク製品輸出禁止策を撤廃すれば、中米貿易のバランスがとれて活気づく。問題は、中国が購入している米国の大豆と、他市場で売れ行きの悪い米国車が多くなり過ぎたことだ。
米国経済の実力が強いため、中米が貿易戦を始めれば、中国の損失は米国を上回る可能性がある。ただ、トランプ新政権が横柄な態度を採れば、損失の膨らむ中国はその相手をするだろう。
傲慢なトランプ軍団は中国の貿易報復がもたらす打撃を非常に低く見積もっている。米国の綿、小麦、大豆、ボーイングの航空機において中国は大口購入者で、中国が代替品を探すことが、米国が中国製品の輸入を止めることより難しいとでも思っているのだろうか?自動車は言うまでもなく、中国の「アップルマニア」もアップルを失っても生きていけるはずだ。
また、中国からは毎年10万人上る学生が米国に留学しており、米国の教育輸出に貢献している。中米貿易戦が激しくなった時に、中国がこの数字を半減させるのは大して難しくない。米国は中国に対する教育輸出を両国の貿易額に算入しておらず、米国にとって最も優れた輸出品なのにトランプ軍団はこれを忘れている。
さらに大事なのは、中米の貿易戦が米国から仕掛けられ、中国が反撃することには十分な正当性があることだ。中国社会が貿易戦による損失を受け入れ、消化する能力は米国よりも高い。儲けるだけで損をしたくないというのがトランプ軍団の甘い考えだが、それは童話の世界でのみ起こること。当然ながら、米国政府が中国に原子力空母2隻を売れば、中米貿易のバランスがとれる。スカラムッチ氏がトランプ氏にこうアドバイスするかは分からないが。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年1月19日