統計基準の変化は、日本経済が真に転機を迎えたことを意味しない。失業率は低下し、大企業は黒字になるなどの好材料が日本の経済環境をある程度改善させはしたが、インフレ脱却にはほど遠く、それどころか改革の成果とエネルギーは減退し始めており、抵抗力やリスクが上昇を続けている。
第一に、経済の自律的成長は徐々に遠のき、金融リスクが増大している。緩和によっと長期的なデフレを終わらせ、日本経済を自律的成長の道に進ませるというのが、アベノミクスの初めの計画だった。日本のマネタリーベースの供給量は13年の132兆円から今では432兆円にふくらみ、対GDP比は80%を超えた。しかしコアインフレ率は1%に届かず、2%の目標値を大きく下回る。日本銀行(中央銀行)はやむなくマイナス金利政策を導入し、「イールドカーブ・コントロール」という金融の冒険に踏み切った。日本政府は続けて大規模な財政出動を行い、「国の借金」は1066兆円に拡大し、金融リスクが一触即発の状態となった。
第二に、外部リスクが増大し、経済運営の脆弱性があらわになっている。内需は長期的に低迷し、日本政府は外部市場に対する依存度を過度に高めている。日本の製造業の海外生産比率はすでに24%を突破し、日本企業の海外販売の比率も60%に迫り、生産の4分の1と販売の6割を海外で行うという状況になっている。英国の欧州連合(EU)離脱などの「ブラックスワン事件」が、日本経済のグローバル化プロセスに巨大な打撃となる可能性もある。