世界の海外直接投資(FDI)にはここ数年、新たなトレンドがみられる。2015年には先進国が発展途上国に代わってFDIの主要な流入先となり、中国などの新興経済国はFDI輸入国から対外投資大国に躍り出た。原因は何なのか?ボアオ・アジアフォーラムでは「グローバルクロスボーダー直接投資:新トレンドと新作用」をテーマとするサブフォーラムが開かれ、参加者が細かい分析を行った。
「中国は数十年の改革と成長を経て、経済の実力を大幅に増強し、経済の開放度も根本的に変わった。以前は中国の国際収支バランスシートは貿易中心だったが、現在は資本中心となり、資本輸出が資本輸入を上回る。対外投資が大きく増えたことは、中国の実力をはっきりと示している」。中国民生投資集団の李懐珍総裁は、対外投資の主体について、民営資本が演じる役割がますます重要になったと指摘した。民営企業が過去数十年に蓄積した実力は大きく、「資本が一定量蓄積された時、国内でも海外でも市場での行き先を求めることになる」と話している。
安邦保険集団の呉小暉CEOは、昨年の中国の対外投資額が世界2位で、経済規模の世界ランキングと一致したと指摘。ただ、既存投資額をみると、中国の対外投資は累計で約1兆米ドルにとどまる一方、米国は4兆米ドルを超えており、昨年の米国の対外投資額は3500億米ドルだった。これをみると、中国と米国の対外投資は同じ市場規律に従っており、国の実力がある程度になると、グローバル産業チェーンの再編に伴って、対外投資は一方向に進んでいくことが分かる。中国経済がさらに発展し、「一帯一路」建設が進めば、中国企業の対外投資はますます広範囲に広がるとの見方を示した。