中国共産党第19回全国代表大会(第19回党大会)報告は、「現代化経済体系の建設」を初めて打ち出し、中国経済の正念場を乗り切るための差し迫った要求であり、中国発展の戦略的目標であると指摘した。これはどのようなシグナルを発信しているのだろうか。
シグナル1:急速な成長の段階から質の高い発展の段階へ
清華大学の白重恩教授によると、「急速な」から「質の高い」、「成長」から「発展」への転換は、社会の主要な矛盾が、より良い生活に対する国民のますます高まる需要と不均衡で不十分な発展との間の矛盾へと転化していることに対応している。「成長とは経済総量の成長である。発展の中身をより豊かなものとすることの最大の意義は、より良い生活に対する国民のますます高まる需要を満たし、よりバランスの取れた十分な発展を実現することにある」
シグナル2:供給体系の質の向上が主要課題に
一部の産業は、生産能力の過剰を抱え、規模は大きくても強さを欠いている。もう一方では、コストパフォーマンスの高い製品への需要が満たされず、一部の消費が国外に流れている。人々の需要は「あるかないか」から「良いかどうか」へと転換しており、需要面のアップグレードに供給面が対応できないという矛盾がますます際立ちつつある。
工業・情報化部党組書記で部長の苗ウ(土偏に于)代表は、供給側構造改革を深化させ、生産能力の削減には「引き算」、新興産業の発展と従来産業の改造・アップグレードには「足し算」、技術革新の投入拡大には「掛け算」を行い、供給と需要をより釣り合ったものとしなければならないと語った。
シグナル3:実体経済が経済発展の重点に
報告は、現代化経済体系の建設にあたっては、経済発展の重点を実体経済に置く必要があると指摘した。
国家発展改革委員会副主任を務める張勇代表は、「国際金融危機の影響を受け、市場の需要が弱まり、実体経済の収益力が低下する中、社会資本が実体を離れ仮想に向かい、企業が実体を捨て仮想に身を投じるという現象が出現している。多くの実体企業は融資が難しく融資コストが高いと感じており、構造調整や産業高度化、革新発展が制約されている」と語った。資本や各種の要素が実体経済の振興のためにその力を集中し、発揮するよう誘導し、国家発展の堅固な土台を築く必要がある。
シグナル4:革新が発展を率いる第一の原動力に
報告は、革新は、発展を率いる第一の原動力であり、現代化経済体系建設の戦略的な支えとなると指摘した。
中国科学院福建物質構造研究所学術委員会主任で中国科学院院士の洪茂椿代表は、「我々は、国家と産業の需要に向けた布陣を改めて行い、産学研(産業・大学・研究機関)の結合を推進し、数百億元規模の産業を形成するだけでなく、世界の無機化学研究のリーダーとならなければならない」と語った。
シグナル5:農村振興戦略で生み出す「三農」の新たな顔
第19回党大会代表で上海市奉賢区党委書記の庄木弟氏は、「農村は、荒れ果てた農村、不在の農村、記憶の中の故郷であるべきではない。農村振興戦略の実施とは、農村を安心して生活し働くことのできる美しい郷里とするということだ」と語った。
報告は、土地請負関係の安定と長期的な据え置きを保ち、第2期土地請負期間の満了後には30年間の延長をもう一度行うと明言し、農民に安心を与えるものとなった。
シグナル6:新たな局面迎える地域協調発展
報告は、より効果的な地域協調発展のための新たなメカニズムの構築を打ち出した。
「中国経済の発展空間に対する長期的な布石となる」。第19回党大会代表で上海市金融サービス弁公室主任の鄭楊氏は、地域協調発展の新たな局面は、中国経済の潜在力と活力を持続的に放出し、経済を持続的に発展させるための新たなエンジンとなると語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年10月26日