米国の税制改革、資本は米国に還流するか

米国の税制改革、資本は米国に還流するか。

タグ:米国 税制改革

発信時間:2017-12-05 10:57:37 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 トランプ政権発足以来で最大の「成績」、米国で30年ぶりの大型改革とされる税制改革法案が間もなく発効する。米国の法人税率が大幅に引き下げられ、課税制度にも大きな変化が生じる。世界最大の経済体、最も重要な消費市場及び投資先である米国の大規模な税制改革は、世界的な金融・産業資本の米国還流を引き起こすだろうか。これは海外で広く注目を集める話題になっている。

 

 税制改革の米国国内への影響を見ると、両院はどちらも高所得者に肩入れしている。ワシントンのシンクタンクである税政策センターによると、今回の減税による大半の利益は、高所得世帯に分配される。そのため今回の税制改革により、米国の貧富の格差や社会の溝が広がる可能性がある。

 

 今回の税制改革で最大の影響を生むのは、法人税の大幅な減税と、米国の課税制度の変化だ。まず法人税は35%から20%に大幅に引き下げられる。またグローバル企業が租税回避のため海外に留保している2兆6000億ドルの利益については、一度に14%の税金を納めれば合法的に米国に戻すことが可能だ。

 

 次に、米国の現在の世界課税体制は属地課税体制になる。海外子会社の配当所得税は免除する。しかし今回の税制改革は、グローバル企業に対して20%の「執行税」を追加し、米国以外の関連会社との内部取引による租税回避を制限している。この新しい税目は国際産業チェーンに衝撃を与え、グローバル企業が産業を米国から移転することを阻止するかもしれない。

 

 数百ページに及ぶ税制改革法案は広く複雑な内容を含む。分析機関と専門家は短期間内に、税制改革が直ちに国際金融・産業の資本流動に大きな変化をもたらすかを断言できず、軽率に結論を下すべきではないとしている。

 

 まず、トランプ政権は減税により企業の投資拡大を促し、経済の力強い成長を刺激できるとしている。しかしエコノミストは、法人税を引き下げても企業が投資を拡大するとは限らず、より多くの資金を金融市場や収益配分に用いる可能性もあるため、実体経済の成長を促すとは限らないと警告した。

 

 また米国の名目上の法人税率は先進国のうち最高ではあるが、経済協力開発機構の統計データによると、各種控除と税務の漏れにより、米国の実際の法人税率は18.1%にとどまり、日・仏・独・英・加・伊の19.4%という平均水準を下回っている。この状況下、減税により企業の現在の投資行為を変えられるかは未知数だ。

 

 また、各国の法人税率と単純に比較することで、企業の投資は必ず低税率の国に流れるという結論を下すわけにはいかない。税率は企業投資に影響を及ぼす要素の一つに過ぎず、他にも市場規模、サプライチェーン、産業クラスタ、経営環境、法治環境、マクロ政策といった要素がある。

 

 観測筋は「今回の税制改革のうち最も懸念すべきは法人税率引き下げではなく、執行税により国際交易を新たに課税対象とすること、もしくは課税により企業に生産を米国に留めるよう迫ることだ」と指摘した。

 

 経済グローバル化の時代、特に流動性がさらに高いデジタル経済が高度発展する現在、世界の税制調整という問題が日増しに困難になっている。国際的な徴収漏れにより、グローバル企業が租税回避している。競争的な減税は、各国政府の財政状況を悪化させる。税の奪い合いにより二重課税や、サプライチェーンの歪みといった問題が生じる。そのため税制の問題は単なる一国の内政ではなく、国際協力が必要な多国間の問題だ。



 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年12月5日


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