Nikkei Asian Review(電子版)は8日、「中国と米国の貿易戦争は、ASEANに利益と損失を同時にもたらす可能性がある。両国間の徐々にエスカレートする貿易戦争の中で、ASEANはチャンスとリスクを同時に目にしている。専門家は、中国企業が米国からの追加関税を回避するため新しい市場を開拓すれば、東南アジアは地理的に近いことから有利と判断している。例えば中国自動車メーカーは東南アジアでの事業展開を加速している。吉利集団はマレーシア国産ブランド・プロトンの50%弱の株式を保有している。ある日本材料メーカーの役員は、多くの中国企業が製品をアジア諸国に販売する『中国プラスワン』戦略により、市場拡大をする準備を進めると予想した」と報じた。
しかしながら、一部のASEAN諸国は中米貿易戦争による悪影響についても、評価を始めている。ASEANの昨年の対外貿易に占める中国と米国の割合は2割に達した。中国はASEANにとって最大の貿易相手国だが、米国は4位だ。シンガポールのユナイテッド・オーバーシーズ銀行の世界経済・市場研究部主管兼執行役員の全德健氏は、環球時報のインタビューに応じた際に「中米貿易の緊張のエスカレートは、ASEANにとってメリットにならない。対岸の火事が、こちらにも及ぶ可能性しかない。ASEAN諸国はグローバル化の発展に力を入れており、開放的な自由貿易体制から利益を得ている」と話した。王瑞傑氏も先週金曜日のインタビューで、「ASEANは保護貿易主義のリスク拡大、貿易交渉の決裂の可能性に警告を出している」と話していた。
タイ英字紙『ネーション』は「中国はタイにとって最大の輸出市場だ。2017年にはタイの輸出商品の12.4%が中国に輸出され、米国市場は11.2%で2位だった」と伝えた。タイのエコノミストは「中米貿易戦争が始まれば、タイは8%という輸出成長目標の達成が困難になる。政府は内需を適度に刺激し、輸出成長の目標値を下方修正すべきだ」と提案した。タイはすでに中国産業チェーンの一環になっていると分析する声もある。タイは毎年中国に、各種電子部品やゴムなどの原材料を輸出しており、さらに中国で加工された工業製品が世界に輸出されている。貿易戦争はタイに直接的な被害をもたらす。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年4月9日