8日付米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「貿易戦争、今の中国は80年代の日本とは違う」と題した記事を掲載した。要旨は下記の通り。
ホワイトハウスは前世紀の日本を対象とした貿易戦争から経験を見出し、現在の中国との貿易戦争に活かそうとしている。しかしこの2つの時代には共通点もあれば、大きな差もあるようだ。
今の中国と同じく、当時の日本も米国に対して巨額の貿易黒字を記録しており、産業政策を利用し自国の企業を世界の大手企業にし、かつさまざまな手段により米国から技術を得ていた。米国が当時日本を言いなりにさせた主な手段は、トランプ大統領が中国に用いている1974年通商法301条だ。この時代を生きた共和党の「貿易戦士」と呼ばれるクライド・プレストウィッツ氏は「当初は(日本に対して)効果的だった」が、この方法が再び奏効することを疑っているという。「(今の)中国は完全に異なる」
中国は巨大かつナショナリズムに満ちた国だ。政府は中国が世界のリーダーという地位を取り戻すと信じており、世界クラスの強い軍隊を作ろうとしている。日本は小国であり、その世界的な野心は第二次大戦で潰えており、さらに米国からの保護を必要としている。これは日本が米国の貿易行為に報復したことがなく、報復をほのめかしたことさえないことを意味する。
これは現在の中国とは対照的だ。トランプ大統領が中国からの輸入品に追加関税を導入すると脅迫してから24時間もたたないうちに、中国政府は対等の報復措置を発表した。トランプ大統領が中国のその他の商品に追加関税を導入すると発表すると、中国商務部の報道官は堂々たる態度で、ためらうことなく直ちに力強い反撃を行うと表明した。
日本は優秀な自動車メーカーと電子企業に米国で工場を建設させることで、貿易戦争の沈静化を図った。しかしこのやり方は、中国には通用しない。米調査会社Rhodium Groupは、中国の昨年の対米投資は290億ドルで、前年より約3分の1減少したと見積もっている。米国は国家安全を口実に、中国企業による米科学技術企業の買収を阻止している。
中国は政治的に敏感な米国製品に攻撃の焦点を絞っているが、これには貿易戦争によりコストを高額にし、米国に退かせる狙いがある。この戦いが中国経済を損ねることも辞さないというわけだ。米国の遊説者は(貿易戦争の)米国の農家に与える潜在的な被害に注目している。農家はトランプ大統領の重要な票田だ。
米大統領は長期的に、自国の貿易戦争における優位性を過大評価してきた。トランプ大統領は中国を脅迫しているが、その助手らは貿易戦争は勃発してないと発言することで市場をなだめている。クリントン政権下で日本との合意に至ったミッキー・カンター元通商代表は「この不確定性は、トランプ大統領の国内及び中国人の間での信頼を損ねた」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年4月10日