広島県呉市在住の山本さんは11日、記者に「災害発生後、主要鉄道・幹線道路が通行不能になり、ここは文字通り陸の孤島になった」と話した。
呉市は日本の今回の豪雨・洪水による被災状況が最も深刻な地域の一つだ。連日の豪雨により現地では山津波と土石流が発生し、17人の死亡者と数人の行方不明者が出ている。外界とスムーズにつながる唯一の手段はボートで、物資が不足し救助に遅れが出ている。
呉市は広島県南部に位置し、うち最も被災状況が深刻なのは天応西条だ。ここは南が海に面しており、東・西・北の3方向が山に囲まれている。多くの住宅が山に沿って建てられている。記者が現地を取材したところ、高所にある多くの民家が土砂崩れによって損壊し、瓦礫の山になっていた。低所の家屋や土地は人一人分の高さ以上の土砂に覆われ、屋根の部分しか出ていない車も多かった。折れた木や枝、岩があちこちに転がり、衝撃的な光景だった。
多くの高齢の住民は、生まれてから最も深刻な災害だったと話した。ある住民によると、6日夜には山津波と山崩れが同時に発生し、土石流と洪水が家屋と道路を襲った。地域全体が土砂に覆われ、多くの人が犠牲になった。現在も5、6人が行方不明になっている。
消防、警察、自衛隊などによる救助隊が緊急で、行方不明者を捜索している。しかし被災地の家屋が大破し土砂に覆われており、かつ連日30度以上の高温が続いていることから、捜索救助には非常に不利な状況となっている。救助隊員は行方不明者がいる可能性のある場所でスコップを使い掘り起こすしかなく、作業が遅れている。ある消防隊員は記者に、複数の救助隊・約40人が現地で捜索救助に当たっており、一日も早く行方不明者が見つかることを祈ると話した。
現在は多くの住民とボランティアが自主的に被災後の整理を行っており、多くの土砂がリヤカーで住宅内から運び出されている。住民の吉本さんは記者に「政府と救助隊は現在、行方不明者の捜索救助と物資の輸送を優先しており、私のような家屋が土砂に覆われた被災者を支援する余裕がない。しかし多くのボランティアが救いの手を伸ばし、整理と被災後の再建に協力してくれている」と話した。
緊急の復旧作業により、道路の一部区間が走行可能になっているが、車で30分の道のりも5時間以上かかるようになった。多くの住民はボートを使い、箱詰めされた食品と飲み物を運んでいる。現地のスーパーは商品が不足しており、多くの住民が必需品を買おうと朝から押し寄せている。
天応西条の停電は解消されているが、広い範囲で持続的に断水に陥っている。現地政府とボランティア団体は公園や学校などの公共施設に給水所を設けている。住民の山下さんは記者に「飲料水の他に生活用水が不可欠だ。被災していなくても風呂に入れず、トイレを流せない家も多く、日常生活が非常に不便だ」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年7月12日