国際時評:米国の鉄鋼·アルミ関税への報復措置に対する提訴は、強盗の理論

国際時評:米国の鉄鋼·アルミ関税への報復措置に対する提訴は、強盗の理論。

タグ:米国 関税

発信時間:2018-07-22 14:35:09 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 米国はこのほど、世界貿易機関(WTO)に中国・欧州連合(EU)・カナダ・メキシコ・トルコを提訴し、同国が実施した国家安全保障のための鉄鋼・アルミニウムへの関税措置は「合理的」で、前述の経済体が同措置に対する報復措置は「違法」だと主張した。米国のこのやり方はまさに強盗の理論で、ダブルスタンダードで、国際ルールを踏みにじる覇権主義的行為は、その他WTO加盟国からの反発に遭っている。

 鉄鋼とアルミは国際貿易において大口製品であり、大部分は民間で使われている。同製品の輸入が国家の安全保障を脅かすとすれば、国家の安全保障を脅かさない製品などなく、すべての国際貿易を禁止しなければ国家の安全を保障できないだろう。「国家の安全保障」を理由に、鉄鋼・アルミの輸入に関税を課すことは、WTOの安全保障例外条項の完全なる乱用であり、国際貿易体系全体と多国間貿易のルールを危うくすることになり、多国間貿易体制に対する深刻な破壊行為だ。

 米商務省と国防総省のデータによると、米国の鉄鋼輸入量は、国内消費量の3分の1に過ぎず、米国の国防産業が必要とする鉄鋼は、国内消費量のわずか3%だ。つまり、米国の国産鉄鋼製品は国防のニーズを十分に満たすことができ、輸入鉄鋼製品がその「国家安全保障」を脅かすわけがないのだ。国際貿易の専門家は、米国の鉄鋼・アルミ製品への関税徴収はあきらかに貿易保護であると繰り返し指摘している。これは、WTO加盟国での広範な共通認識となっており、多国間貿易のルールを破壊し、違反しているのが誰かは一目瞭然だ。

 また、米国は他の経済体と鉄鋼・アルミ関税についての免除交渉を実施し、相手国に対し「輸出自主規制」をするよう迫っている。このやり方は、世界貿易を再び輸入割当制の時代に戻すもので、WTOの「輸出自主規制」を禁止する規定に違反している。

 元米商務省官僚で、オルブライト・ストーンブリッジ・グループのシニア顧問であるヘンリー・レビン氏は、「1980年代の米国政府は日本に対する対米輸出の「自主規制」を何度も要求したが、これにより証明されたことは、輸入割当設定により人為的な貿易の歪曲が容易に起こるということだった」と述べた。

 米国は鉄鋼・アルミ製品に対し高い関税を課す一方で、政治・経済への配慮から一部経済体への関税を免除し、差別的なダブルスタンダードを行うことは、WTOの最恵国待遇の原則に違反している。米国は多国間貿易のルールを放棄し、ダブルスタンダードを大々的に使い、一部経済体に輸出自主規制を迫りながら、別の経済体には免除措置を行っていることは、自国の利益のみを考え、国際貿易の秩序を甚だしく乱している。

 さらに、その他経済体による米国の鉄鋼・アルミ関税への報復措置は、WTOの基本原則と多国間貿易体制を守るための正しい行動であり、WTOの義務を遵守するよう米国に促すための必要な措置でもある。米国が自ら追加関税を課しておきながら、他国の報復措置を認めないのは、典型的な強盗の論理である。

 WTOを代表とする現在の多国間貿易体制は、世界各国の協議によって確立されたもので、米国を含む160余りのWTO全加盟国に対して拘束力を持っている。世界最大の経済体でありWTO創設メンバーでもある米国の貿易覇権主義的手法はすでに、多国間貿易体制の基盤を脅かし、その他の経済体が反撃しなければ、国際貿易体系は強権のみを認める「弱肉強食」の時代へと後退してしまうだろう。

 誰が国際貿易ルールの破壊者で、一国主義的制裁という暴力を思うままに振るっているのか。また、誰が多国間貿易体制の庇護者で、必要な「正当防衛」をしているのか。国際社会は自ら判断し、WTOも公正な裁決を下すだろう。


 新華網日本語版 2018年7月22日


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