だが中国の経済・社会の発展水準が向上するのにともない、輸入された固体廃棄物が河川の水質汚染、大気汚染、健康被害など、さまざまな問題を引き起こすことがわかってきた。17年7月、中国の環境保護部は17年末までに、廃プラスチック、無選別古紙、廃紡績原料、パナジウムスラグなど24種類の固体廃棄物の輸入を禁止すると発表し、「海外ごみ」を密輸した違法業者は厳しく取り締まる方針を打ち出した。
中国の決定は国内で喝采を浴びるとともに、国際社会もこの中国の思い切った環境保護措置を高く評価した。ただ日本を代表とする一部の先進国は「行き場を失った」プラごみの処理に頭を悩ませることになった。
▽苦境の中に希望も
日本の複数の専門家が指摘するように、中国が「海外ごみ」の輸入を禁止したことで、日本のごみ輸出企業は仕切り直しを迫られることになった。
日本紙「日本経済新聞」の報道によると、福岡県嘉麻市のごみ輸出企業が今年3月、福岡地方裁判所で破産手続きを開始した。日本最大の企業情報データベースを擁する株式会社東京商工リサーチが発表した研究結果によると、「これからもっとたくさんのごみ輸出企業が倒産の危機に直面することになる」という。
だが中国の「海外ごみ」制限は、日本のリサイクル企業に新たなチャンスをもたらしたともいえる。たとえばこれまでプラごみを中国企業に売却してきたキャノンなどの企業は、これから日本国内で「後継者」を見つけなければならないからだ。
首都圏郊外の鉄道沿線には、廃棄物処理業者の看板が増えている。「日経新聞」によると、茨城県笠間市の亜星商事は今年、同県内のごみ処理工場に数億円の追加投資を行って処理能力の向上をはかるほか、8月には千葉県にも新たにごみ破砕処理工場を建設する計画だ。