ライトハイザー米通商代表は16日、日本、EU、英国と単独の貿易協定に関する交渉を開始すると宣言した。トランプ政権はカナダ、メキシコと貿易協定で合意したことに続き、再び一対一の形式によりその他の貿易大国との交渉を展開しようとしている。これは既存の世界貿易体制を変えようとする米国の戦略で、中国への圧力でもあると判断されている。AFP通信は、これは中国によりやっかいな問題をもたらすと伝えた。多くのメディアは、米国が「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に含まれる「毒薬」条項を、日本や欧州との交渉で押し付けることがあるか推測している。しかし米国と日本・EUの交渉は、開始前より火花を散らしている。米国は強気の姿勢を示している。ライトハイザー氏は、日本は「米国にとって重要だが往々にして振るわない市場」と批判した。トランプ大統領も先ほど、「EUほど米国に対する敵意が満ちている同盟国はない。EUは貿易で米国を利用することを目的に設立された」と述べた。
日本の主流メディア各社は17日、米国と日本が貿易交渉を開始する情報を伝えた。日本メディアは、早ければ来年1月にも交渉が開始されると予想した。日本メディアは、米国が自動車や農産物の貿易で日本に圧力をかけることを懸念している。菅義偉内閣官房長官は17日の記者会見で、「これが容易な交渉になることはないが、我々が行う交渉は我々の立場に合致しなければならない。国益を保護し、交渉を行う」と述べた。
日本はさらに、米国が円相場に圧力をかけることを懸念している。日本経済新聞によると、ムニューシン米財務長官は13日にバリ島で開かれた、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、「今後の貿易交渉では各国と為替問題について議論する。日本も例外ではない」と揺さぶりをかけた。米国の対日貿易赤字は対中貿易赤字の約半分だが、近年に入り大幅な円安が生じていることから、米国が日本に矛先を向ける可能性がある。しかし日本政府の関係者は、「日本が為替条項を受け入れることは絶対にない」と強調した。
EUは米国との交渉の情報に、冷ややかな態度を示している。欧州委員会のマルムストローム委員(通商担当)は17日にブリュッセルで、「交渉はまだ始まっていない。EUは工業製品の関税について協議する準備があるが、米国側は今のところ関心を示していない」と述べた。ドイツの経済誌は17日、米政府はEU、日本、英国との貿易交渉を求めているが、課題が山積していると伝えた。欧州委員会のユンケル委員長は7月、トランプ氏と貿易問題についてあいまいな協定に合意した。しかしフランスのマクロン大統領は当時、明確に反対を表明していた。フランス政府はさらに、「世界的な温暖化を阻止するパリ協定を尊重しない国」との貿易協定の署名は受け入れないと表明した。日本は米国との貿易交渉にいやいやながら同意したが、輸入車に関税をかけるとするトランプ氏の脅しを打ち消す手段にしている。また英国がEUの一部である限り、米英貿易交渉を開始することはできない。
ロス米商務長官は、USMCAに「毒薬」条項を盛り込んでおり、これにより中国の「孤立化」を図ると高圧的に述べた。米国が日本、EU、英国との貿易交渉の開始を宣言すると、多くの国際メディアは米国が再びこの「毒薬」を盛り込むのではと憶測した。しかしいわゆる「毒薬」条項について、カナダのトルドー首相は15日、USMCAが「カナダと重要な相手の取引を阻止することはできない」と述べた。
17日に開かれた中国外交部の記者会見で、記者からは「国連貿易開発会議が15日に発表した報告書によると、中国が今年上半期に導入した対外直接投資は、低迷する流れに逆らい6%増で総額700億ドルを上回り、世界最大の対外直接投資流入国になった。これは米国の中国への圧力拡大が、中国と他国の経済・貿易協力の発展を損ねることはないということか」という質問があった。陸慷報道官は「中国側と経済・貿易・投資などの協力を維持、さらには拡大するかについてだが、すべての国と企業は自身の確かな利益に基づき政策を選択するはずだ。私はこの選択が正しいものだと信じている」と回答した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年10月18日