中国が提唱する広域経済圏構想「一帯一路」。習近平国家主席が2013年に訪問先のカザフスタンとインドネシアで提唱した世界の共同発展に関する重要な構想であり、国際関係において中国が取り組む先駆的な試みの1つでもある。
「一帯一路」構想は提唱されるや、たちまち国際社会で大きな反響を呼び、多くの発展途上国をはじめ、一部の先進国や重要な国際機関がこぞって「一帯一路」の国際協力枠組みに参加するに至った。
世界は今、100年に一度といわれる政治・経済の大きな変革期を迎えており、平和の赤字、発展の赤字、グローバルガバナンスの赤字という3つの赤字が全人類の抱える深刻な問題となっている。人類が直面している共通の問題をいかに解決すべきか、世界各国はその方法や取り組みを模索しており、競争し比較し合う中で互いに参考にし補完し合っている。
こうしたなか、「一帯一路」は国際経済協力の理念と多国間主義(マルチラテラリズム)を実りあるものにし、世界経済成長の促進と共同発展の実現に向け、重要な案や方法を提供するものとなっている。
1.世界には新たな共同発展のプラットフォームが必要
世界では「不均衡で不十分な発展」という問題が、新たな国際関係を構築する上で解決すべき重要な課題となっている。習近平国家主席が第1回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの開幕式の演説で指摘したように、世界経済の成長には新たな原動力が必要であり、さらに均衡ある発展と社会福祉の増進、拡大する貧富の格差の解消が急がれている。世界には新たな共同発展のプラットフォームが必要であり、これを構築することは21世紀の国際関係に新たな原動力を生み出すことにつながるだろう。「一帯一路」はこうした中で提唱されたものだ。
2.「一帯一路」共同発展プラットフォームの大きな知恵
「一帯一路」は広域的な国際協力を呼びかけるものであり、その理論的根拠はいわゆる一体化とは異なり、地域間協力・発展に向け多様な地域を結びつけるものであり、発展段階や政治体制の異なる国同士が協力し合うことで、新たな成長の活力を生み出すものだ。「一帯一路」の共同構築の提唱は、開放と包容のプロセスであって、地政学的な政治同盟や軍事同盟を組むものではない。小さなグループや「中国の仲良しクラブ」をつくるものではなく、イデオロギーによって区分けするものでもゼロサムゲームをプレイするものでもない。参加したいという国があれば、いつでも歓迎する用意がある。
3.「一帯一路」は知識交流と相互学習の場
「一帯一路」はまた、交流を通じて知識を深め合い、相互に学び合う場でもある。「一帯一路」の沿線はもともと多様かつ多彩な文明が融合した場所であり、文明の交流という対話を通じて、それぞれの培ってきた経験や知識を共有し合うというのも、「一帯一路」のめざす協力の在り方だ。習近平国家主席は「一帯一路」の構築について、「文明の交流をもって文明の溝を埋め、互いの文明を見倣い合うことで文明の衝突を超克し、文明が共存することによって文明をより優れたものとしなければならない」と指摘。各国が相互理解、相互尊重、相互信頼を深めることの重要性を訴えた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年4月25日