米国の経済問題は自国の政策によるもので、中国とは関係がない。最も大きな経済問題を生んだのは、米国政府による2000年の「グラス・スティーガル法」(1933年制定)の廃止だ。これは「カジノ型銀行」の事業展開の地ならしをし、最終的に2008年の金融危機と「大衰退」を引き起こした。香港・亜洲時報が伝えた。
1920年代の野放図な貸借が米国の金融を崩壊させ、グラス・スティーガル法が制定されることになった。同法は商業銀行もしくはリテールバンクのハイリスクな投資への参与を禁止し、これらの銀行を米連邦準備制度の厳しい管理下に置いた。また銀行への投資活動も厳しい監督管理を受けた。同法は米国の銀行業を安定させる効果を発揮した。どのような考慮があったにせよ、同法の廃止は2008年の金融危機を引き起こした原因の可能性がある。
同じく金融システムと経済を損ねたのは、サブプライムローンだ。サブプライムローンは信用記録、財力、勤務条件が劣る消費者に提供された。満期になると多くの人が返済できなくなり、抵当品を取り戻す権利が失われ、不動産バブルが生じた。先進経済体は現在もこの金融危機から立ち直っていない。しかし一部の国は政策のミスにより金融と経済の混乱を引き起こしたことを認めず、中国を批判している。
連邦準備制度理事会 (FRB)のバーナンキ元議長は、金融危機の原因を「アジアの過剰な貯蓄」とした。これにより金利が下がり、米国の政府・企業・消費者を「債務の罠」に陥れ、返済能力を失わせたというのだが、これは間違っている。過剰な貯蓄に責任を押し付けるのは、犯罪者が銀行にカネがあるから強盗を働いたと言い訳するようなものだ。
中国批判は、米国の外交政策関係者が熱中する暇つぶしのようだ。最新のケースは米中貿易戦摩擦で、この摩擦を発動した口実は中国が「米国の昼食を食べたから」だ。しかし事実は正反対だ。アップルなどの米国企業は中国の安価な労働力を利用し、巨額の利益を手にしている。米国の雑誌に掲載されたデータによると、中国が1台のiPhoneを生産するたびに手にする利益は8.5ドル未満だが、この携帯電話の販売価格は約650ドルだ。
トランプ米大統領は中国製品への関税上乗せは米国にとって有利と誇らしげに語っているが、状況はおそらく正反対だ。関税は米国の輸入業者が支払い、それは米国人消費者に転嫁される。FRB、プリンストン大学、コロンビア大学は共同調査の中で、関税が米国人の消費者に転嫁されることで、米国の毎月の収入が14億ドル減少すると試算している。
「米国の中国を食べた」のは、米国の政治家と欠陥のある政策であり、中国や別の国ではない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年5月15日