米国が2000億ドル分の中国製品に対する関税を10%から25%に引き上げると宣言したことについて、日本メディアと専門家は、貿易戦争に勝者はないという普遍的な観点を示した。米国による中米経済貿易摩擦のエスカレートは、双方ばかりでなく世界経済にも損失をもたらすという。
日本メディアはこの動きに大きく反応した。日本経済新聞は社説の中で、この措置は中米経済発展を妨げ、世界経済及び世界市場をも脅かすと論じた。また中米は協議を通じ歩み寄り、関税を相互上乗せする貿易戦争を回避すべきと主張し、次のように続けた。
米国は関税引き上げを検討するとしたが、これは経済と市場の現実を無視した乱暴な言論であり、世界の株式市場もこれによって敏感かつ脆弱になっている。量的緩和を続けるなか、主要経済国の株価が徐々に回復し、世界経済もようやく苦しい成長を維持した。ところが米国の追加関税により、世界経済は危機に直面する可能性がある。政策当局と投資家は新たに警戒を強めている。
日本メディアは米国の関税引き上げについて、中米経済貿易摩擦のエスカレートに伴い、世界経済と貿易の減速がますます顕著になっているとの観点を示した。世界経済が圧力を受け始めたのは、米国による関税戦争からだ。報道によると、昨年の世界貨物貿易は成長が鈍化したが、米国通商拡大法232条に基づく鉄鋼などの製品への関税上乗せに対する、関連諸国の報復措置がその主因だ。
キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹は記者に対して、「世界最大の経済国である中米両国であるが、どちらか一方に対して厳しい経済制裁を行えば、必然的に相手から報復措置を受けることになる。これは当事国に損失をもたらすだけでなく、世界経済を長期的な不況に引きずり込む。米国側は現在、中国製品への関税引き上げを宣言したが、これは米国と世界の損失になる」と述べた。
財務省の浅川雅嗣財務官はこのほどメディアに対して、米国の巨額の貿易赤字について「不均衡の問題を両国の貿易収支だけで判断するならば視野が狭い。サービス貿易を含む経常収支の不均衡や経済構造などの角度からこの問題について議論するべきだ。経済構造に変化がなければ、米国が中国製品に巨額の関税を導入したとしても、その市場は他国の輸入品を代替品にするしかない」と話した。
日本の内閣府は今年3月の「世界経済の潮流」白書の中で、次のように指摘していた。世界金融危機以降に中国は高付加価値の電気製品、部品、機械設備などの主な輸出国になっている。米国が中国製品に追加関税を導入すれば、高付加価値部品などの中国製品の輸入が減少し、米国の自動車及び半導体業界の輸出に影響が及ぶ。また先進国の貿易、アジアなどの新興国の貿易も広く影響を受ける。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年5月14日