カルフール中国は先ごろ、蘇寧易購に48億元で80%の株を売却した。「長江商報」の取材によると、カルフール中国の主席兼CEOである唐嘉年氏はすでに辞表を提出済みだが今年秋まで現職に留まる。同社と蘇寧易購は現在、引継ぎ業務を行っているという。
事実上、カルフール中国は蘇寧陣営に入るが、これは中国で苦戦する外資系企業の縮図に過ぎない。6月25日、ウォルマート山東省淄博市柳泉路支店が閉店した。中国のウォルマートが閉店したのは今年に入って15店舗目。ドイツのスーパーであるメトロも買収されるとの噂が立っている。このような噂はこれが初めてではない。
カルフールやウォルマート、メトロなど外資系スーパーが輝きを放っていた時代は過去のこと。大型スーパーは「斜陽業態」とまで呼ばれ、ショッピングセンターが必ず配置すべきものでもなくなっている。業界ウォッチャーは、小売業のエコシステムとロジックは大きな変化の中にあり、中国の小売業は今後、アリババ、テンセント、蘇寧に牛耳られると見込んでいる。
カルフールは1995年、中国大陸市場に正式に進出した。最も早く中国進出した外資系スーパーの1つである。大型売場を持つ代表格のスーパーとして、カルフールは輝きを放っていた。業界の誰もがカルフールに学び、さらには管理層を引き抜いた。だから小売業界の「黄埔軍官学校」と呼ばれていた。
しかし2010年以降、カルフール中国の売上と店舗数は減少に転じる。そして赤字転落、価格詐称、相次ぐ閉店といった暗いニュースが相次ぎ、黄金時代は幕を閉じた。2019年3月までに、カルフール中国は国内に大型スーパー210店舗、コンビニ24店舗、大型倉庫付き配送センター6カ所を持つ。
以前のような、我先にと買い漁っていた客の姿はもうない。アナリストは、カルフールが中国で敗北した理由を小売業のエコシステムとロジックに大きな変化が生じたためだと指摘する。
アメリカのウォルマートは1996年に中国市場に進出。最初の店は深圳の「ウォルマートショッピング広場」と会員制スーパー「サムズ・クラブ」だった。
eコマースや電子決済サービスが消費の主流になるにしたがい、「ネットショッピングは価格を比べやすい」、「スマホで決済、すぐに配送」という気分が常態化した。行列を作って開店を待ち、売り場へ急ぐ姿は、もう過去のものとなった。
eコマースシンクタンクと百聯コンサルティングの創始者である荘帥氏は、「外資系大手スーパーの中国での成長は、多かれ少なかれ馴染まないところがある。競争は日々激しさを増している上に、eコマースプラットフォームの浸透もある。都市化が進んだことから地価も高騰し、総合業態やイノベーティブな業態も生まれている」と指摘する。
ある国有小売企業の幹部は、今後5~10年で中国の小売業は合併を加速させ、1兆元あるいは数兆元規模の小売企業が誕生すると考えている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年7月7日