米国唯一のレアアース(希土類元素)メーカー、MPマテリアルズの最高経営責任者(CEO)、マイケル・ローゼンタール氏が8月下旬、密かに台湾を訪れ、「中国が切り札の「レアアース」を出せば、世界は震え上がる」と指摘した。台湾の中時電子報が29日、経済誌『今周刊』の報道を引用して伝えた。
同紙によると、ローゼンタールCEOは今回の訪問の目的について、「台湾や他のアジアの関連業者が必要なレアアース製品を知りたいと思ったから」と回答。同社は今のところ台湾に取引先がないため、意欲的にパートナー探しをしており、米国もレアアースのサプライチェーンの再構築に力を入れているという。
ただ、MPマテリアルズが取り扱っているのはレアアース鉱物であって、これをレアアースに分解する術は持っていないため、同社の9割以上のレアアース鉱物はすべて中国で加工する必要がある。同氏は、足元の米レアアース産業と中国との微妙な関係について、「米国が採掘を再稼働させたとしても、ほぼすべてを中国に送って精製しなければ商用化できない」と指摘する。
米トランプ大統領は8月初め、中国からの輸入品の残りの品目すべてに追加関税をかけると表明したが、この「残りの品目すべて」なるリストから、レアアースなど重要な鉱物は除外されている。これについて同紙は、レアアースが米国にとっての弱点であることが明るみに出たとの見方を示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年8月31日