食糧、花、果物のどれを栽培するか。豚、鶏、蜂のどれを飼うか。これは貴州省黔西県中建郷の村人にとっては難しい選択で、重大事だった。これまでの試みでは、大きな収益をあげられなかった。
中建郷はかつて貴州省の100の1類貧困郷の1つで、森林率が70%を超える。全郷の耕作地は分散されており、合わせても1万6500ムーにも満たない。交通の便が悪く、生産力が低く、高品質の生態資源が手付かずのまま放置されていた。村人は自給自足の小農生活を送っていた。
中建郷には2017年に高速道路が通った。村人は徐々に脱貧困の力をつけ、各世帯は各自の考えに基づき農業と畜産業を発展させた。中建郷は1類貧困のレッテルを剥がした。しかしいかに各世帯が生産した高品質の農産物を結びつけ、より高い付加価値を生むかが難題だった。
中建郷は今年の春以降、大胆な試みをした。「走進中建」という「微信小程序」(WeChatミニプログラム)を開発し、ネット上で農村観光及び農家の生態農産物をPRした。より多くの観光客を招き、何を購入すべきかを教えた。
中建郷党委書記の曾涛氏は、「深い農村産業革命において、村人は産業の中からエネルギーを見いだし、以前は手にすることができなかった収益を手にしなければならない」と述べた。郷幹部が先頭に立ち、営盤村の月亮湾で稲を栽培した。この土地の森林率は80%以上で、耕作の古い歴史がある。土壌がよく肥え、地下の鉱泉を灌漑水としている。ここでは稲が栽培されたことがあるが、村人は半年以上忙しく働いても売りに出すことができず、1ムー当たりの経済効果が限られていた。
新たな発想は、平方メートル単位の栽培だ。栽培基地を40平方メートル×1200区画に分け、豊作の場合米を25キロ以上生産する。消費者は小程序で購入を申し込む。1区画の価格は400元。苗を植える時に200元支払うと、消費者の名前の看板が田に立てられる。秋で豊作になった場合、残りの200元を支払う。米は現場で脱穀後にトランクに詰めて持ち帰ることも、乾燥・脱穀・包装後の郵送を選ぶこともできる。
すぐに購入申込みページのアクセス数が1万件を超え、1200区画が売り切れた。村人は目を見開き、計算を行った。「米500グラムが8元で売れるとは」村人は同じ品種の高品質米であれば、ネット上での販売価格が1キロあたり20元にのぼり、最も高いものであれば60元にのぼることを知らなかった。
収穫を迎えると、村で稲刈りする人々の中に多くの若者の顔が混ざった。村人の楊啓明さん(56)は5ムーほど栽培しており、収入はざっと見積もり5万元前後だった。出稼ぎに出ていた息子夫婦、娘夫婦が帰省し協力した。
10月末、高品質米が消費者の手に届けられた。ある業者が来年に備え大量の予約購入をしたことが、最も直接的な効果だった。
さらに小程序は各世帯に分散していた農産物を結びつけた。オニノヤガラ、殻が緑色の鶏卵、はちみつ、スイカズラ、野生のクルミ、皂角刺、竹製のざるなど、各世帯に分散していた商品がいつでもオンラインで注文できるようになった。郷村のチームが消費者から注文を受け、村人の自宅を訪問し購入する。
野生のクルミは500グラムあたり20元、殻が緑色の鶏卵は1個2元、はちみつは500グラムあたり150元。村人の家の目立たない農産物が都市部住民の食卓に上がった。村人はこのようなネット活用により、数カ月で60数万元分の農産物を販売した。
村・支委員会は次の厳しい農産物品質保証措置を講じた。各世帯の栽培基地及び家屋周辺を清潔に保つ。販売した商品に品質問題があれば無条件で返品に応じる。外部から商品を仕入れたり偽物を販売した場合、全チャネルにおける当該農家の商品取り扱いを永久に停止する。
村人は現在、来年の観光客の好みに応じた栽培・飼育計画を立てている。ミニトマトの栽培面積を拡大し、イザヨイバラを栽培し、鶏を飼う。楊さんにも自分なりの計画がある。数年前に植えたみかんは来年にも実をつける。来年の収穫時に、QRコードで自分のみかんを売ろうというのだ。「いい値がつくといいのだが」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年12月28日